書店に行けば無数に並ぶTOEIC対策本。そしてWeb上に溢れるTOEIC関連のブログや情報サイト。
それらは便利で有益な反面、多くのTOEIC学習者を惑わせてしまっているのも事実。特に初級者やスコアが伸び悩んでいる方の中には、種々雑多な情報に踊らされて、参考書や勉強法をコロコロ変えているという人も多いのではないでしょうか?
そこで、私が独学のみの半年間でTOEICスコアを400→800オーバーまで引き上げることに成功した勉強法を紹介したいと思います。今回は、苦手な人が多くスコアアップが難しいと言われているリーディングについてお話しますので、TOEIC初心者や自身の学習法が定まっていないという方に、少しでも参考にして頂ければ幸いです。
Part5対策をメインにリーディングを攻略する勉強法
最初に受けたTOEICは400点・・・
私が英語学習を再開したのは大学3年生の秋。大学受験時は、センターで7割取れるかどうか微妙なラインだったので、もともと英語が得意だったわけではありません。また、好きでもありませんでした(笑)。それでもなんとか英単語を詰め込み、長文の大意を取ることで受験を乗り切った私は、大学で半年だけ必修だった英語をとり、その後は完全に放置。もう一生英語を勉強することはないと思っていました。
しかし前述した通り、3年生の秋になって英語学習を再開。英語に3年半以上もの間、真剣に触れていなかったので、今思うとその当時の英語力はかなりひどいものでした。これは受験生のときからそうでしたが、まず副詞が何かも分からず、接続詞と前置詞の違いも分からない。英単語もほとんど忘れていたので、簡単な英文であれば何とかノリで読めるかな、といったレベルでした。
そんな英語力でTOEICを受けてみましたが、永遠と続くページに嫌気がさし、途中で解く事をやめ、適当に且つ綺麗に枠内に黒丸を塗ることに専念。結果は壊滅的でした。そのような状態から、いかにして半年でスコアを倍にすることができたのか。
TOEICリーディング対策のキーはPart5!
TOEICはListeningセクションとReadingセクションに分かれていますが、今回はリーディング対策についてお話します。リーディングと一口に言っても、3つのパートから成り、文法や語彙、長文読解問題に分別することができます。その中でも私がとくに集中してやっていたのがPart5対策。それはなぜなのか。理由は大きく分けて二つあります。
一つ目は、シンプルに長文を読むのが嫌だったから(笑)。読もうとしても読めなかったと言うのが正直なところです。英語初級者の方だと、長文を見ただけで拒否反応が出てしまう人も多いのではないでしょうか。そのような精神的な理由で、一つの英文が比較的短いPart5から勉強していくことに決めました。
二つ目の理由としては、TOEICで重要なことはほとんどPart5に集約されていると思ったからです。どういうことかと言うと、Part1からPart7まで一通り問題を見てみて、Part5に出てくる英単語と文法が理解できていれば、他のパートを解くために必要なそれもほとんどカバーできるんじゃないかなと思ったのです。
つまり、英単語や文法の基礎ができていない私は、「Part5に集中することでTOEICに必要な基礎を習得し、あとはそれをリスニングなり長文なりに応用すればいいだけなんじゃないの?」と感じたのです。この気付きがスコアアップのスピードを後押ししてくれたと思っています。
Part5から文法と英単語、TOEICのクセを吸収
最初の2ヶ月間は、Part5対策だけをひたすらやりました。使用していた教材は主に『1日1分レッスン! 新TOEIC TEST千本ノック! 』シリーズと、『1駅1題 新TOEIC TEST文法特急』シリーズ。持ち運びやすく、レイアウトがクイズみたいで、解説も親切でわかりやすくまとまっていたからです。
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はじめのうちは「形容詞を修飾するのは副詞」や「接続詞の後はS+V」などと言われてもよくわかりませんでしたが、大量に問題に触れて解説を読んでいくことで、次第に文法知識が身に付いていきました。Part5の英文は短いですが、TOEICに必要な英単語、文法、語法などがたっぷりと含まれています。
「ただ問題を解いて答え合わせして終わり」ではなく、隅から隅まで吸収して、英文を読んですぐに意味が取れるようになるまで、何度も繰り返し読み返してください。そうしているうちに「TOEICはこういうところを問うてくるんだな」というのが、不思議と肌感覚でわかってくるようにもなります。
英単語に関しては、問題文中に出てくる知らない英単語を、マイ単語ノートを作ってまとめていくようにしました。これを繰り返すとなると膨大な作業のように思えますが、ある程度ストックされてくると、未知の英単語に出会うことは格段に少なくなります。というのも、TOEICに登場するほとんどの英単語はあらかじめ決まっているからです。
単語ノートにまとめる際の注意点としては、「reserve=予約する」とするのではなく、「reserve a hotel room=予約する」のように、前後の目的語なども含めるようにしてください。そうすることで語感が身に付き、コロケーションやイディオム問題にも対応できるようになります。
現在では、TOEIC頻出の英単語が収録された良質の単語帳もたくさん出ているので、そちらをやりながら、それに載っていない単語はノートにまとめていくというやり方でもいいかもしれません。
長文対策は慎重に!そしてPart5対策も忘れずに!
Part5でTOEICレベルの文法や英単語を身につけ、短い英文をある程度読めるようになってきたら、お次は長文問題対策も学習に取り入れます。Part5の英文を読むことができたら、ゆっくりながらもPart6、7の英文を読むことができるはず。Part5とは問われるポイントが違いますが、英文を読んで理解することができれば、解答まで問題なくたどり着くことができます。
長文の英語レベルが特別高いというわけではありません。英文が短いか長いかの差なので、最初は思うように読むことができなくても、練習と慣れでリーディングの速度と精度は上がっていくことでしょう。Part5で培った語彙力と文法力をフルに活用しながら、まずはゆっくりでいいので、一文一文しっかりと意味を取ることを意識してください。
最初は時間内に正解するというよりは、長文を最初から最後まで理解することに重きを置きましょう。うまく意味が取れないという場合は、英文と日本語訳を一文ごとに見比べながら進めていくのもいいでしょう。とにかく、長めの英文でも意味を確実にとる、そしてTOEIC特有の英文のパターンや内容を自分の中に落とし込んでいくプロセスが非常に重要です。早く読むことを意識するがために、デタラメに英文を読んでしまって、分かったような気になるのだけはやめてください。
焦らずにTOEICに対する嗅覚を磨く
そのような学習を続けていくうちに、長文を少しずつ読めるようになるだけでなく、「一つの長文につき問が3つあるなら、1問目のヒントは、長文の上3分の1部分にあることが多いな」「ダブルパッセージの日時に関する問題は、一つ目の長文の内容を、二つ目の長文の中で訂正することが多いな」など、TOEICに対する嗅覚がついてきます。これは、キーワードだけを探して適当に読んでいく練習方法では身につきません。
焦らなくていいので、昨日よりも今日、今日よりも明日、少しずつでも速読と精読を上げるような学習を意識してください。使用する教材に関して、コレがおすすめ!というものは特にありませんが、公式問題集はマストで、私はプラスαとして『1駅1題 新TOEIC TEST読解特急シリーズ』をメインに使用していました。
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いきなり長くて難しい長文を解くのはストレスになると思うので、初級者向けの長文対策問題集から始めてみるのもいいでしょう。自分のレベルに合ったものを使い、徐々にステップアップしていって下さい。Part6に関しては、Part6のみの問題集というのは私の知る限りないですし、模試や総合対策問題集のみの学習で十分だと思います。Part5とPart7を解く力があれば、Part6は解くことができるので。
一点、大事なことなので気をつけて頂きたいのですが、長文問題を始めてからも、Part5対策は止めずに、長文対策と並行して必ず行うようにしてください。新たな文法や英単語知識の積み上げは必須なので。ちなみに私は、Part5 : Part6,7 = 6 : 4ぐらいの割合で勉強していたように記憶しています。
新形式も安心!Part5で培った力は他のパートでも必ず生きる!
2016年5月からTOEICは新形式へと移行し、Part5のような短文穴埋め問題の数は減り、長文読解の比重が増えることになりますが、新形式においても、今回紹介した学習スタイルは十分に生きると確信しています。
特に初級者の方には、Part5に重点を置いたTOEIC対策がおすすめです。わけもわからず長文問題にトライしても非効率でストレスになるだけ。まずはPart5の短い英文から、TOEICに必要な文法と英単語を吸収してみてください。その力は、長文パートだけでなく、リスニングパートでも、必ず力を発揮することでしょう。