写真の中の鶴は和紙で折られていて、その数は全部で81羽です。81羽の鶴は1枚の大きな和紙で折られており、すべての鶴が体のどこかしらでつながっています。旭川市在住の西田勉氏の作品です。西田氏の作品の一部が11月12日から30日までの間、旭川市内にある北洋銀行北支店で展示されており、期間中は自由に鑑賞することができます。
台紙には「盤寿祝」という文字が見えています。
西田氏ご自身の盤寿を記念しての作品ではないかと思われます。81歳を超えられて81羽ものつながっている鶴を折ることができている。折り紙に対する思いの深さを感じずにはいられません。
使われている和紙は非常に薄くて、少しでも扱い方を間違えるとちぎれてしまいそうです。しかし、和紙には普通の紙とは違って粘りのようなものがあってとても丈夫なのだそうです。そのような和紙だからこそこれほどに美しく出来上がるのではないしょうか。
支店内での展示の様子
支店内では机の上や壁などに、写真のような連鶴の作品を含めて100点以上の作品が展示されています。作品は仏像や面、昆虫、鳥類など多岐にわたっています。
金色の台紙につけられた141羽の連鶴
同心円状に並んだ鶴は全部で141羽です。念のため数えてみましたが、確かに141羽つながっていました。
1枚の大きな和紙で141羽分の設計図を作り、必要な部分にハサミを入れていくそうです。うまくいかないときもあるそうでが、そういう時は訂正を繰り返しながら完成品へと仕上げていくのだそうです。
「折っている途中で鶴がちぎれてしまうことはないのですか?」という質問に対して、西田氏からは、「和紙は非常に丈夫なのでそう簡単にちぎれることはありません。」という返事が返ってきました。
こちらは48羽の連鶴です。
上の写真の連鶴では1羽を除いて同じくらいの大きさの鶴で作られていますが、こちらの連鶴は明らかに大きさの異なる鶴が混ざっています。鶴の大きさが異なると、見え方も変わってきます。台紙の色が赤いと華やかさも加わってくるような気がします。
こちらは77羽の連鶴です。
こちらの連鶴は同心円状には並んでいません。このような形も同心円状に並んだ鶴とは異なった美しさがあります。最終的に並べる時の形を考えながら設計図を作り、どの部分を残しどの部分を切り離すかを考えるというのですが、大変な作業であることは想像に難くありません。
こちらは61羽の連鶴で、立体的に作られています。
こちらの連鶴は61羽がつながっています。立体的であることと赤色を基調にした和紙を使っていることで華やかに見えてきます。
ペガサスです。
翼を広げたペガサスの活き活きとした姿が表現されています。まるで今にも飛び立っていきそうな姿です。1枚の和紙からこれほどにも活き活きとした動きを表現できるのですね。
独楽です。
今年ももうすぐ終わり、新年を迎えることになります。部屋の中にこのような折り紙の独楽を飾って新年を迎えるのも良いかもしれません。
今にも動き出しそうな犬たちです。
折り紙の犬の折り方は、折り紙の書籍には大概載っています。でも、こんなにもかわいらしい動きをしている犬はあまり見たことがありません。
西田氏は、「ほんの少し折り方を変えただけでも表情が変わるんです。同じように折っているつもりでも、同じものはありませんよ。」と話されていました。
「仏像」という名前が付けられていました。
こちらの作品は額にまとめられていて壁に掛けられていました。写真で見てもその素晴らしさが伝わってきますが、直接作品を見ると、その表情や繊細さにもっと驚かされます。
「面その他」という名前が付けられていました。
面を見るだけでも色々な表情を感じ取ることができます。全ての作品を通して言えることですが、1枚の和紙で折られているということを信じられますか
作品は100点以上も展示されているのですべてを紹介できていませんが、西田氏が折る作品の素晴らしさはできる限りお伝えしました。
「折り紙作品の展示をすることによって、地域の人たちが集ってくれるととても嬉しいです。」と北洋銀行の支店長様がお話ししてくださいました。なんだか心がぽっと温かくなりました。
手作りの作品を作り上げる人たちは、作品が完成したときの充実感を大切にしているのでしょうね。製作開始から40時間かけて完成させる氷彫刻の製作者も 完成した時の充実感を大切にして製作しているのでしょうか。