REPORT●村上 菜つみ(MURAKAMI Natsumi)
PHOTO●高橋 克也(TAKAHASHI Katsuya)
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いちばんの特長はそのデザイン!! なんてわざわざ力を込めて言わなくても、どこかでガンナー50に似たバイクを見つけられる可能性すら感じさせない圧倒的な独創性ですよね。
フューエルタンクを内蔵した細いボディは、先端のヘッドライト部がわずかにふくらんでいるほかは、テールライトのある尾部まで、すとんとすっきりストレートで、まるでただのパイプのよう。きっと「ガンナー」の名は、砲身にも似たこのボディにちなんで付けられたものなのでしょう。でもガンナー50のデザインの特徴は、じつはそれだけではありません。
国産バイクを見慣れた目には違和感満載のフロントフォーク、パワーフィルターを思わせるインテークまわり、ガッツリむきだしのバッテリー、フレーム下に隠すように配置された小さなマフラーなど、どこか改造バイクみたいなヤンチャっぽさを感じさせる楽しいデザインが随所にちりばめられています。
ガンナー50のエンジンは49cc4ストローク空冷単気筒の3.3PS。けっしてパワフルとはいえないパワーユニットですが、実際に乗ってみると「あれ、意外と走る!」と驚かされました。
4速ギアのローでめいっぱい引っ張って、ようやく法定速度の30km/hに手が届く程度のささやかな動力性能で、高回転域にも目立った伸びはありません。きつい上り坂ではトルクを食われ、全開にしていても少しずつスピードが鈍ってゆくこともしばしばです。それでも、よくできたエンジンだと感心したのは、何よりもその出足の良さのため。ガンナー50のエンジンは、低回転側に意外なほどたっぷりトルクが盛られていて、もしその気になれば、発進時にフロントをぽんぽん浮かせることだってできるほど。ましてふつうの街中ライディングくらいなら、まず不満を感じさせない元気なダッシュ力を誇ります。
そしてガンナー50のエンジンのもうひとつの魅力ポイントは、わくわくするようなエキゾーストノート。ライダー魂をくすぐる心地よいパルス感があり、実際にはたいしたスピードが出ない小さなバイクなのに、その音からは、こましゃくれた野性味すら感じられて、ぐぐっと気持ちが盛り上がってきます。
フロントブレーキはタッチがとても硬く、レバー入力を強めていっても、なかなか利いてくる感じがありません。でも、ある点をこえて強く握り込むと、急激に制動力が高まり、まるでつんのめるように止まります。そのときは、ふわっと軽くリアが浮き上がり気味になるのがわかるほど。
いっぽうリアブレーキは、踏みはじめから利きすぎるほどよく利きますが、そのぶん不用意に強く踏むとロックしやすいので、操作には慣れと注意が必要です。前後とも、やや癖のあるブレーキなうえABSが装備されていません。ブレーキはなるべく丁寧に操作しましょう。
ガンナー50のサスペンションはストロークが短く、初期動作がとても硬いため、乗り心地がいいとはいえません。とくにリアサスペンションはあまり動かず、ほぼリジットに近い動作感です。そのためギャップを拾うとパタパタと車体がはずむ傾向があり、路面変化には弱い面も。とはいっても、もともとハイペースで走るマシンではないので、とくに不安感はありません。
コーナリング特性は、小さなボディや小径タイヤからは想像できないほどしっとり落ち着いています。どんなポジションで乗っても、少しくらい荒っぽい操作をしても、ゆったり安定したコーナリングができるのがいいところ。
ただし左側へ深めにリーンすると、わりと簡単にサイドスタンド・マウントまわりを路面にこすってしまいます。それでも挙動が乱れるようなことはほとんどありませんが、可愛いガンナー50には、やっぱり優しく控えめなコーナリングがお似合いですよね。
ふわんとやさしいエンジンで、ちょこまか自在に走れるガンナー50。たいしたパワーもスピードもないけれど、その小さなボディには、ライダーの誰もが青春時代に感じたキラキラのバイクの喜びがぎっしり詰まっています。
もうずいぶん長く学校になんて行っていないのに、私も明日は学校をフケて、ガンナー50とふらっとどこかに遊びにいってしまいたくなりました。
全長:1670mm
全幅:690mm
全高:1270mm
軸距:1150mm
最低地上高:105mm
シート高:802mm
乾燥重量:75kg
タンク容量:4.5L
エンジン形式:4ストロークSOHC空冷単気筒
ボア×ストローク:39mm×41.4mm
排気量:49.47cc
圧縮比:7.3:1
最高出力:2.4Kw/8000rpm
最大トルク:3Nm/7500rpm
始動方式:セル/キック
タイヤサイズ前・後:100/70-12・120/70-12
価格:225,500円(消費税込み)