今回、コンテナ化されたSA方式5GCにおけるUPFの1サーバーあたりのスループット640Gbpsは、東京都内の研究施設において測定されたものだ。この結果は、今後の商用ネットワークにおける性能向上にもつながることが期待される。
今回のコンテナ化されたUPFのスループット高速化は、楽天モバイル、NEC、インテルによる専門性の高い協力関係による成果である。NECは、通信とITに関する高度な専門性を用いて、通信業界における最先端の製品開発を行い、CPUの使用率とメモリの高速アクセスを最大化させている。また、インテルのAIアクセラレーション機能を備えた第3世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサーや、DDP(Dynamic Device Personalization)機能を備えたデュアルポート100Gbインテル・イーサネット・ネットワーク・アダプターE810-2CQDA2など、最新の高性能インフラストラクチャーが活用されている。楽天モバイルは、「RCP」上でコンテナを導入した環境を構築し、高速処理を行うことにより、「RCP」が持つ全自動化を活かしながら、トラフィックの特性に応じてエッジデータセンターからセントラルデータセンターまでUPFを俊敏かつ柔軟に展開することを可能にしている。
これまで楽天モバイルとNECは、日本国内の楽天モバイルのモバイルネットワークでの活用および「RCP」での提供を目的に、コンテナを導入したSA方式の5GCの共同開発に関する2020年6月の合意をはじめ、無線アクセスネットワーク(RAN)の領域においても国内モバイルネットワーク向けに5G用基地局装置の無線機(Radio Unit)の共同開発を行ってきた。2021年5月には両社の協業範囲を拡大し、「O-RAN ALLIANCE」が定めるO-RANフロントホールインタフェース仕様(※4)に準拠したOpen RANシステムの提供(4G および5G無線機と、システム構築のエンジニアリングサービス)をグローバルで提供を開始し、「RCP」のグローバル展開の加速に向けて取り組んでいる。
楽天モバイル、NEC、インテルは、オープンで完全にクラウドネイティブでコンテナ化されたSA方式5GCの共同開発を通じて、世界規模でモバイル通信技術の革新を推進し、日本および世界中のユーザーに高品質な5Gネットワーク技術を提供することを目指していく。
※1:コンテナとは、OS(オペレーションシステム)上に他のプロセスからは隔離されたアプリケーション実行環境を構築することで、仮想的な動作環境をより少ないコンピュータリソースで実現する技術のこと。
※2:SA方式とは、RANからコアネットワークまでを5Gの通信技術に基づき構成したネットワークのこと。
※3:「Rakuten Communications Platform」とは、楽天モバイルが開発を進める4G(第4世代移動通信システム)および5G(第5世代移動通信システム)のモバイルネットワークを提供するコンテナプラットフォーム。本プラットフォームでは、コンテナ化されたモバイルネットワーク用のアプリケーションが稼働する。
※4:O-RANとは、相互運用可能でオープンな無線アクセスネットワーク(Open RAN)の仕様策定を推進する標準化団体「O-RAN ALLIANCE」の仕様のことで、Open RANソリューションは、本仕様に準拠する。楽天モバイルは、2020年8月より加盟しており、同11月に当社代表取締役副社長兼CTOのタレック・アミンが理事に就任している。