REPORT●栗栖国安(KURISU Kuniyasu)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
XR250が生産を終えて以後、トレールバイクのラインナップがなくなっていたホンダが2012年、水冷エンジンを引っ提げてCRF250Lを登場させました。オフロードファンには朗報だったでしょう。しかし、CRF250Lはオフロードをガンガン攻めるバイクではなく、林道ツーリングを楽しめるアドベンチャーバイクといったバイクでした。最大の要因は143㎏という車重です。XR250より10㎏も重かったのです。それでもツーリングバイクだと考えればライトウエイトの部類ではあるので、ツーリングの相棒としてはいいバイクだと思いました。とくに車高の低いタイプLDは、取り回しのしやすさもあって親近感を持てました。
新型CRF250Lは一段とオフ性能を高める方向でモデルチェンジされました。車重も140㎏まで減量し、ウデに覚えのあるライダーには食指を動かされるバイクになっていることでしょう。その場合、当然タイプSを選択するのでしょう。従来型ではスタンダードが車高が高く、車高の低いほうはタイプLDとして販売していました。ところが新型では、車高が低いほうがスタンダードで、前後サスの長いタイプがSとして登場させています。長身の僕はシート高880㎜のSでも両足が着くのですが、乗り降りがけっこうつらいんです。足を上げなくちゃいけないので。その点スタンダードは830㎜のシート高なので気軽に接することができました。
低中速特性を高めたエンジンは、1~5速のギア比をクロスさせ、6速はオーバードライブ的にしたことで、60㎞/hまでの常用域でさらに力強い走りができるようになっています。ただし、一般道でも6速で低めの回転で走りたい僕にはちょっと不満が残りました。ノッキングするような感じになってしまうので、結果的に5速までしか使えませんでした。でもまあ、高速道路では6速が大活躍してくれるので、ツーリングユースでいえばマイナスとはならないですね。
新たにアシストスリッパークラッチが採用されていますが、シフトダウンに伴う急激なエンジンブレーキによる後輪ホッピングを軽減するだけじゃなく、レバーの操作荷重も20%軽減しています。実際に乗ってみるとレバーの軽さは実感できます。クラッチレバー操作というのはけっこう手に負担がかかるものです。とくに長距離を走るツーリングでは操作が重たいレバーは疲労面で致命的です。新型CRF250Lのクラッチレバー操作は軽いので、ツーリングが快適にできます。
僕はセロー225WEの最終型にもう20年以上乗っているのですが、悔しいことにツーリング性ではCRF250Lのスタンダードタイプに軍配が上がると実感しました。
車名・型式 ホンダ・2BK-MD47
全長(mm) 2,210〔2,230〕
全幅(mm) 820
全高(mm) 1,160〔1,200〕
軸距(mm) 1,440〔1,455〕
最低地上高(mm) 245〔285〕
シート高(mm) 830〔880〕
車両重量(kg) 140
乗車定員(人) 2
燃料消費率(km/L)
国土交通省届出値:定地燃費値(km/h) 46.0(60)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(クラス) 34.8(クラス 2-2)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m) 2.3
エンジン型式 MD47E
エンジン種類 水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒
総排気量(cm3) 249
内径×行程(mm) 76.0×55.0
圧縮比 10.7:1
最高出力(kW[PS]/rpm) 18[24]/9,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 23[2.3]/6,500
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 7.8
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 常時噛合式6段リターン
変速比
1速 3.538
2速 2.250
3速 1.650
4速 1.346
5速 1.115
6速 0.925
減速比(1次/2次) 2.807/2.857
キャスター角(度) 27° 30′
トレール量(mm) 109
タイヤ
前 80/100-21M/C 51P
後 120/80-18M/C 62P
ブレーキ形式
前 油圧式ディスク(ABS)
後 油圧式ディスク(ABS リアキャンセル機能付き)
懸架方式
前 テレスコピック式(倒立サス)
後 スイングアーム式(プロリンク)
フレーム形式 セミダブルクレードル
製造国 タイ
※〔 〕内は〈s〉