スズキの中間排気量を担う4気筒のモジュラーエンジン:M型。K型に取って代わられるまでは同社の中核エンジンであった。

GMとの提携を解消したスズキが、独自に世界市場を開拓するための戦略エンジンとして、それまでのG型に代わり2000年に登場した(排気量1328ccのM13A。HT51S型スイフトに採用)。いかにも古かったG型を一新し、性能面だけでなく振動/騒音を洗練させることに留意している。




高いレベルでの静粛性確保は開発目標の大きな柱のひとつとなっており、カムシャフトの駆動にはサイレントチェーンが用いられる。吸気側に装備されるVVT機構はカムカバー内に収められた。




アルミ製のエンジンブロックにはディープスカート形状を採用。メインベアリングキャップにはスチール系の焼結合金を用い、締結ボルト数を1カ所あたり4本としたセミラダーフレーム型式とすることで、クランクシャフトまわりの支持剛性を確保している。また、ダミーヘッドを締結した状態でシリンダーボアの仕上加工を行なうことで、組み付け時のボア真円度を高めるという手法を量産エンジンとして初めて採用する。




当初から排気量拡大を前提とした設計となっており、M13Aのボアサイズ:78.0mmはそのままにストロークを延長することで、1490ccのM15A、1586ccのM16Aと排気量バリエーションを展開する。2007年まではM16Aのボアを拡大(83mm)することで排気量を1796ccとしたM18Aも存在していた。これらはすべて吸気側カムシャフトにVVTを装備する(国内仕様のみ。海外仕様では一部省略)。M15AおよびM16Aは可変吸気機構を採用し、スペースを必要とする長い吸気管を使わずに低回転域でのトルクを稼ぐ。

■ M13A


気筒配列 直列4気筒


排気量 1328cc


内径×行程 78.0×69.5mm


圧縮比 9.5


最高出力 65kW/6000rpm


最大トルク 118Nm/4000rpm


給気方式 自然吸気


カム配置 DOHC


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 直接駆動


燃料噴射方式 PFI


VVT/VVL In/×


(ジムニーシエラ)

■ M15A


気筒配列 直列4気筒


排気量 1490cc


内径×行程 78.0×78.0mm


圧縮比 10.0


最高出力 82kW/6000rpm


最大トルク 145Nm/4400rpm


給気方式 自然吸気


カム配置 DOHC


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 直接駆動


燃料噴射方式 PFI


VVT/VVL In/×


(SX4)

■ M16A


気筒配列 直列4気筒


排気量 1586cc


内径×行程 78.0×83.0mm


圧縮比 11.1


最高出力 100kW/6900rpm


最大トルク 160Nm/4400rpm


給気方式 自然吸気


カム配置 DOHC


吸気弁/排気弁数 2/2


バルブ駆動方式 直接駆動


燃料噴射方式 PFI


VVT/VVL In/×


(スイフトスポーツ)
ジュニアWRC仕様のスイフト(イグニス)に搭載され活躍したM16A。排気量は1598.5ccとレギュレーションの制限ギリギリまで拡大、160kW(218ps)以上というパワーを発揮していた。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 内燃機関超基礎講座 | スイフトスポーツのテンロクエンジン:スズキ[M series]