TEXT●萩原文博(HAGIWARA Fumihiro)
個人的にはクルマのコストパフォーマンスの高さを測る上で、走行&燃費性能、室内の広さや利便性そして運転支援システムなどの安全装備の充実度という3つのポイントを重視しています。こういう視点ではスポーツカーのコスパは高くならないと思われるかもしれませんが、そのクルマの種類によってこの3つのポイントのバランスは変わります。
先日試乗したポルシェ718ケイマンGTS4.0のように水平対向6気筒+MTという圧倒的な気持ち良いエンジンフィールと走行性能に加えて、前後に設置されたラゲッジスペースによる利便性の高さなど考えると車両本体価格は1101万円ですが、非常にコストパフォーマンスは高いと考えます。つまりクルマのストロングポイントが、この価格で手に入るの!ということであればこのクルマはコスパが高い!となるのです。そうした視点でコスパの高い3台を選んでみました。
まず、選んだのが日産スカイライン400Rです。ハイブリッド車に装着されるプロパイロット2.0は用意されていませんが、納得の運転支援システムを装着して車両本体価格は562万5400円です。
400Rの魅力は最高出力405ps、最大トルク475Nmを発生する3L V6ツインターボエンジン、そして抜群の操縦安定性を誇るインテリジェントダイナミックサスペンションなどの専用アイテムです。同じクラスのセダンで400Rと同じパワーを発生するパワーユニットを搭載したモデルは、大概1000万円以上の価格となっています。そういった点で考えてもスカイライン400Rのコスパの高さがわかってもらえるでしょう。
続いては、車両本体価格201万7400円のスズキ・スイフトスポーツ(6速MT)です。
軽自動車でも200万円超のモデルが当たり前となっている時代に最高出力140psを発生する1.4L直4ターボエンジンを搭載するスイフトスポーツが200万円前半で手に入ってしまいます。ハーテクトと呼ばれる新プラットフォームを採用し、車両重量はCVT車でも1トンを切る軽さを誇ります。この軽量・高剛性のボディとパワフルなエンジンによる軽快なフットワークは懐かしホットハッチの走りを継承しています。非装着車も設定されていますが、運転支援システムのスズキセーフティサポートを標準装備しており、自分の考える3つのポイントでも高得点となっています。
スイフトスポーツは20代~40代まで幅広い年齢層が購入していると聞きますが、若者はファーストカー、そして元若者はセカンドカーもしくはミニバン卒業組が昔を懐かしんで購入しているのでしょう。50代の私でもスイフトスポーツに乗ると昔の走り屋魂にちょっと火が付いてしまいます。
そして最後はプジョーSUV2008です。新型の2008はガソリン車とEV(電気自動車)が用意されていますが、特にコスパの高さを感じたのがガソリン車です。
最新の新車価格は302万~341万円となっていますが、デビュー時のエントリーグレード「アリュールは299万円でした。2008はコンパクトカー208と同じプラットフォームを使用していますが、ラゲッジスペースの容量は434L(5人乗車時)を実現。これはマツダCX-30とほぼ互角という優れたパッケージとなっています。
搭載するパワートレインは定評の最高出力130psを発生する1.2L直3ターボ+8速AT。3気筒のクセである騒音や振動を巧みに抑えています。ハイオクガソリンというのは気になるポイントですが、WLTCモードで17.1km/Lならば十分満足できるでしょう。さらにADASと呼ばれる先進運転支援システムも充実しており、コンパクトSUVの中では国産・輸入車の中でもコスパは高いと思います。
そのコスパの高さを理由に筆者は2008アリュールを購入し、まもなく納車予定となっています。本当に2008のコスパは高いのか、自分の目利きが正しかったのかがこれからわかることになります。
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というわけで、自動車評論家・業界関係者といった「クルマのプロ」たちに、コストパフォーマンスが高い「お買い得」な新車を3台ずつ、毎日選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに。