新明和工業は、本社敷地内において、エレベータ方式と二・多段方式の機械式駐車設備への自動運転車の自動入出庫、および複数の通信と誘導方法の組み合わせによる、この2つの設備間の自動走行を実現する車路管制システムの実証実験を行い、以下の3項について成功した。

・業界初となる二・多段方式駐車設備への、後退(バック)駐車技術の確立


・地下等のGPSが使用できない空間を想定した、独自の「車両誘導システム」の構築(車路管制機能を含む)


・エレベータ方式、および二・多段方式駐車設備の入庫扉の開閉動作まで含む自動バレーパーキング

 新明和工業と群馬大学は、2017年12月から「自動運転自動車の機械式駐車設備利用実現に向けた共同研究」を開始し、2019年7月にはエレベータ方式駐車設備を想定した検証用装置への自動前進駐車を業界で初めて成功させるなど、これまで研究を進めてきた。今回実現した上記3項により、今後の自動運転車の普及やこれに伴う社会変化を想定し、通信環境や誘導方法を機械式駐車設備とその周辺インフラ側で整え、自動運転車と協調させることで、安全に配慮しつつ高い精度で自動運転車を機械式駐車設備まで誘導し、駐車する技術を確立した。




 本技術の適用により、GPSが届きにくい地下空間、マップ情報のない私有地などでも自動バレーパーキングが可能となり、その結果、機械式駐車設備内をはじめ、車路導線を含む駐車エリアへ人が立ち入る必要がなくなることから、人身事故が生じるリスク要因を排した、安全で便利な機械式駐車設備の実現に近づいた。

業界初 自動後退(バック)駐車の実現 ~自動運転車と機械式駐車設備の協調~

 今般共同開発したAPPS(Advanced Pilot Parking System)と「V2P」(自動運転車(V)と機械式駐車設備(P)の間を通信で繋ぐシステム)の運用により、自動運転車と機械式駐車設備が協調(必要なデータや信号を送受信)し、安全かつ高い精度で自動運転車を駐車スペースに誘導する。具体的には、前面車路幅が5.5メートルの狭小地において、自動運転車に切り返し操作を行わせることで、2019年に成功した自動前進駐車と比べて、より高度な運転技術が求められる後退(バック)駐車での自動入庫を実現した。




 この結果、より広範な駐車場に対応する技術を確立するとともに、未来社会における機械式駐車設備の可能性が拓けた。

機械式駐車設備への自動バレーパーキングシステムの構築 ~設備周辺から入出庫に至る一連の動作を自動化~

【新明和式自動バレーパーキングの特長】


・ 車路部分から機械式駐車設備までの自動運転車の誘導について、インフラ側でランドマーク(QRコード)、ライントレースなどを用いて、Wi-Fi、4Gなどその場に適した通信方法を組み合わせた自動運転車管制システムを構築(「車両誘導システム」)。


・ LiDARによる閉塞制御の確立により、安全性も確保。


・ 駐車の場面では、自動運転車と機械式駐車設備の通信によりパレットの呼び出し、出入口ドアの自動開閉まで一連の動作を自動化。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 機械式駐車設備への自動バレーパーキングの技術も確立