そこでオンキヨーは、音に関する技術を活用し、プライバシーへの侵害が少ない振動センサを用いて車両通過時の道路の振動を採取、振動信号を機械学習し、車両通過を判定する技術について、AIを用いた取り組みで先行するNAISTと共同で技術研究を行ってきた。
NAISTユビキタスコンピューティングシステム研究室は、センサ・デバイス・ネットワークが連携し、センサから取り込まれる実世界データを処理・集約・解析することで、高度なサービスを効率良くユーザに提供するシステム(ユビキタスコンピューティングシステム)の実現に向けた研究に取り組んでいる。オンキヨーとNAISTユビキタスコンピューティングシステム研究室は、モノを伝わる振動(音)データを機械学習によって分析をすることで、様々な分野での各種分析、判断へ応用することを目的に共同研究を行っている。
オンキヨーが培ってきたオーディオ技術を用いて、微弱な振動(音)に含まれる特徴的な信号を忠実に増幅することによって得られたデータを使用し、機械学習・分析を行うNAISTユビキタスコンピューティングシステム研究室と連携することにより、これまでにない幅広いニーズに対応するための研究を進めていく。
論文名:路側設置振動センサによる交通量推定システムの検討
概要:
道路交通量調査は、長年ほとんど人手による観測にて行われており、5年に1度の道路交通センサスの最新の調査でも約52%が人の手によるもので、機械化されているのは14%に過ぎません。この理由として機械計測のコストと設置性が課題となっています。そこで、低コストで設置も簡単なピエゾ素子をもちいた振動センサを開発し車両通過時の路側に伝わってきた振動信号から特徴量を抽出することで車両の通過判定を行う交通量推定システムの検討を行いました。一般の複数の道路の歩道に振動センサを設置した実験を行い、振動センサから収集した振動音データのみから機械学習アルゴリズムであるSVM(Support Vector Machine)を用いて道路を通過した車両数を推定した結果、晴天・曇天下ではF値0.90以上、雨天下ではF値0.89の高い精度で車両数をカウントすることができました。
【オンキヨーのコメント】
当社グループは、現在120名強の技術者が在籍しており、ホームオーディオ、スピーカーの素材開発からAI・振動センサーなど、多岐に渡る技術の開発を行っている中、この度、当社の技術が評価され、優秀論文賞を受賞したことを大変光栄に思っております。
今後も当社は経営理念である「VALUE CREATION」に基づき、これまで培ってきた音に関する技術を磨くのみならず、他の技術とのコラボレーションによるAI活用の研究開発にも取り組み、生活をより豊かにする新しい価値提案を推進してまいります。