今回のポイントは、エントリーグレードの35TFSIのエンジンが1.4ℓから2.0ℓへ排気量がアップしたこと、12Vのマイルドハイブリッドシステムを採用したこと(S4を除く)、内外装に大きく手が入ったことである。
グレード構成は
35 TFSI:455万円(FF)
35 TFSI advanced:523万円(FF)
35 TFSI S line:570万円(FF)
45 TFSI quattro advanced:580万円(4WD)
45 TFSI quattro S line:627万円(4WD)
S4:895万円(4WD)
となっている。それぞれ、29万円高でワゴンボディのアバントが設定されている。
試乗したのは、主力グレードとなる35 TFSI advanced:523万円(FF)である。
advancedはLEDヘッドライト/LEDリヤライト&ダイナミックターンインディケーターを標準装備し、サイドスカートも付いてメイナーチェンジ前のS lineと同等以上となった。S lineよりadvancedの方がスポーティさと上品さのバランスがとれているように個人的には感じた。
1.4ℓから2.0ℓとなったエンジンは、やはり排気量の余裕を感じる。
従来が
1.4ℓ直4DOHC直噴ターボ(EA211型)
最高出力:150ps/5000-6000rpm
最大トルク:250Nm/1500-3500rpm
だったものが
2.0ℓ直4DOHC直噴ターボ(EA888型)
最高出力:150ps/3900-6000pm
最大トルク:270Nm/1350-3900rpm
になったわけだ。排気量が600cc増えてパワーは同じ、トルクも20Nmしかアップしていないことを見ても「余裕」が感じられる。
45TFSIになると同じEA888型だが
最高出力:249ps/5000-6000pm
最大トルク:370Nm/1600-4500rpm
になる。今度は俄然やる気な感じ。
ライバルのBMW320iが同じ2.0ℓ直4ターボ(B48型)で
最高出力:184ps/5000pm
最大トルク:300Nm/1350-4000rpm
であることを考えると、アウディA4 35TFSIが控えめであることがわかる。この控えめな感じがとてもいい。エンジンは滑らかに吹け上がるし、アイドルストップからの再始動もスムーズ。走り出しの力強さも充分だ。
その理由は、今回から採用された12Vマイルドハイブリッドシステムにある。アウディがBASと呼ぶベルト駆動式のオルタネーター(ベルトドリブン・オルターネータースターター)がクルマをちょっと押してくれる(そして回生もしれくれる。回生した電力はトランク床下に搭載したリチウムイオン電池に貯める)。ライバル、メルセデス・ベンツCクラスは1.5ℓ直4直噴ターボ+48Vマイルドハイブリッドという方式を採るが、アウディはベーシックなエンジンには12Vシステムをまずは採用する。
箱根の山を登って芦ノ湖スカイラインを走ったが、A4 35TFSI advancedは気持ちよく走ってくれた。
「アウディを買うなら縦置きエンジン+クワトロ」と個人的には思ってきたけれど、FFでまったく不満は感じなかった。クワトロといえばスバルと並んでセンターデフ式の4WDシステムを思い浮かべるが、いまやアウディでもセンターデフ付きは少数派。A4の4WDシステムは、「センタークラッチを備えた4WDシステム」で、簡単に言えば「普通のカップリング式」である。もちろん制御にはアウディが持つ4WDについての膨大なノウハウが投入されているに違いないが、かつてのセンターデフを期待する向きは、S4を選ぶしかない。35TFSI advancedのFFと4WDの価格差は57万円だ。
乗り心地が望外に良かったのも印象的だった。タイヤは225/50R17サイズのブリヂストンTURANZAを履いていた。この17インチの50タイヤというのが乗り心地には効いている。外観は大径ホイール低扁平率のタイヤの方がいいかもしれないが、A4 35TFSI(FF)というキャラクターを考えたら、このタイヤは正解だと思う。タイヤをリプレイスするときも「17インチの50タイヤでよかった!と感じるだろう。
A4は、8年周期でフルモデルチェンをしているから次期モデルの登場は2022年になると予想される。今回のビッグマイナーチェンジで現行A4は完成形となったと言える。ドイツのプレミアムDセグセダン3モデル(A4、3シリーズ、Cクラス)はそれぞれポジションが明確になったように思う。スポーティな3シリーズ、インテリジェントなA4、ドライバーインターフェイスなどコネクティビティに注力するCクラス。どれを選んでも満足がいくはずだ。
大幅改良を受けたA4も、もちろん選ぶ価値あり、である。
アウディA4 35TFSI advanced
全長×全幅×全高:4760mm×1845mm×1410mm
ホイールベース:2825mm
車重:1530kg
サスペンション:Fウィッシュボーン式Rウィッシュボーン式
駆動方式:FF
エンジン
形式:2.0ℓ直列4気筒DOHCターボ
型式:DEM(EA888)
排気量:1984cc
ボア×ストローク:82.5×92.8mm
圧縮比:11.6
最高出力:150ps(110kW)/3900-6000pm
最大トルク:270Nm/1350-3900rpm
燃料供給:DI(筒内燃料直接噴射)
燃料:プレミアム
燃料タンク:54ℓ
トランスミッション:7速DCT
燃費:WLTCモード 13.6km/ℓ
市街地モード 10.5km/ℓ
郊外モード 13.6km/ℓ
高速道路モード 15.5km/ℓ
車両本体価格:523万円
オプション:タンゴレッドM 9万円、シートヒーター(フロント/リヤ)7万円、スマートフォンワイヤレスチャージング/リヤシートUSBチャージング 6万円、ラグジュアリーパッケージ23万円 パークアシストパッケージ8万円、マトリクスLEDヘッドライトパッケージ11万円(オプション合計64万円)
トータル587万円