週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していきます。
解説●松永 大演
写真●中野 幸次
(00年代国産車のすべて より 2012年刊)
BMW5シリ—ズやメルセデス・ベンツEクラスと同じ士俵に上がるべくして開発されたモデル。アリストをGSと呼んでいたことからGSとしての歴史は長いが、日本では2代目のまだ若いモデルだ。
注目となるのは特異な形状をしたインテークである、スピンドル・グリル。レクサスの新しいアイデンテイティとしてこのGSから明確に採用された。とはいうもののCT200hにもそのテーマは窺え、長期的なスケジューリングのなかで開発されていたことがわかる。賛否はともあれ、ある程度のアクの強さが個性となりやすく、また一般から受け入れられるにはもう少し長い時間を覚悟しなければならない。
技術的にはハイテクをふんだんに用いて、特に走行性能を高めようという狙いが見て取れる。往年の自動車ファンには懐かしい4WSが復活しているのも、その一例といえる。とはいえ日本では90年代前半までに積極採用され一定の効果を上げたものの、その後採用がなくなっていた。ところが逆に今度は欧州での採用が活発化する兆しがあり、再検討を図ったものと思われる。LDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)と呼ばれるもので、後輪のみならず前輪の操舵も補正する。クルマのヨーレートに対するクルマの向きと進行方向のずれを正すように慟くもので、常に理想的なハンドリングを実現するのだという。
エンジンは先代同様にハイブリッドも採用される。3.5ℓ V6エンジンに電動モ—夕—&バッテリーを組み合わせたものだが、駆動輪は後輪のみだ。このエンジンはハイブリッド用に全面改良され、アトキンソンサイクルを採用、また直噴制御システムを新方式とすることで先代と比べても燃焼効率を大幅に高めている。JC08モードで比較すると先代の450hが12.8km/ℓだったのに対して、新型は18.2km/ℓにまで向上しているのだから驚異的。その気になれば、4.5ℓ V8なみの大トルクに身を委ねることも可能だ。
この新型GSは安全制御を中心として数えきれないほどのハイテク・デバイスを採用しているが、室内に目を転じれば対局にあるような装備にも驚く。450hバージョンLにはステアリングやパネルに高知県の竹材が採用されているのだ。育成まで3年と早く安定した植生をもつ素材であることが最大の特徴だが、独特の存在感とぬくもりある触感が特徴的だ。GSの個性に花を添える存在となっているといえるだろう。
L4850×W1840×H1455mm
WB 2850mm
エンジン:V型6気筒DOHCハイブリッド 3456cc
最高出力:217kW(295ps) /6000rpm
最大トルク:356Nm(36.3k gm) /4500rpm
電動モーター :1KM型
最高出力:147kW(200ps)
最大トルク:275Nm(28.0kgm)
車両重量:1820kg
タイヤサイズ:225/50R17
価格:700.0万円
レクサス・ブランドの誕生は1989年。それまでも日本車は北米市場で高い人気を誇っ ていたが、 良くできていて壊れない大衆向け商品というイメージが強かった。 そんななかプラザ合意による円高と貿易摩擦によって、より高級(高価)なモデルを販売しなければ利益を確保できないような状況が進んでいた。 また、北米高級車は旧態依然としたままで北米車以外では欧州車のみ、新しい価値観を持つ若い富裕層にぴったりのモデルがなかった。
そんななか、 高品質高機能であり上質という価値観で初代セルシオ (LS400) とともに登場したブランドがレクサス。この新しい高級は北米を始め幅広い地域で高級ブランドとして認知され、 新しい価値観を持つエグゼクティブから高い評価を受けることになる。
加えてレクサスESの日本仕様であるウィンダムが「レクサスES300 =日本名ウィンダム」というキャッチコピーを用いたことから、トヨタの高級ブランドがレクサスである、という認知が日本でも高まっていった。
こうした時間を経て日本埠入は2005年。国内における高級車市場を輸入車から奪取すべく、3代目GS2代目IS等が日本向けにもレクサス車として登場。世界各国でプレミアムブランドとして認知が高まっている。
2005年、日本でのスタ ート当初はIS、GS、SC の3ラインアップで始まったが、現在のレクサスは、 ハインエンドセダンからハッチバック、 SUV そしてスポーツカーと幅バリエーションを持つ。(2012年当時)