まず日本と欧州のBMEP分布を比較、さらに欧州勢について、種別ごとにどのような分布になっているかを調査した。この方式はChapter 1:Engineにおいてすべて同様の手法をとった。
日欧比較では、ご覧のように欧州が全体的に高く、日本が低い位置にとどまった。これは先述のように、過給を前提としてパフォーマンスを作り出す欧州勢に対して、高電圧ハイブリッドを主流/小型車においてはCVTでエンジン最適効率点をねらうパワートレイン戦略が浮き出た格好である。とくに欧州勢は、多くの問題を抱えたままではあるがなおディーゼルエンジンの活躍目覚ましく、BMEP調査ではそれが強く表出している。
一方で小型省気筒小排気量高過給ガソリンエンジンのパフォーマンスも目立ち、たとえばフォード1.0エコブーストは999ccから絞り出す大トルクを受けてBMEPは30bar近くを叩き出すこととなった。
高電圧ストロングハイブリッドがメインである日本に対して、PHEV/48Vを含めた多角的な戦略をとる欧州勢。EVも各社からやっと出揃うこととなったが、95g/CO2@2021年を(段階的にも)クリアするためには、幅広い電動化戦略が必要。その手段として注目され採用が進むのが48Vシステムで、それぞれのブランドがBSG:ベルトスタータージェネレーターを採用するに至っている。唯一、別な方策も講じているのがダイムラーで、フライホイール部にモーターを仕込みアシストする方式を併用、三菱電機との協業による。本章では48V戦略の特質や現在/未来に加えて、航続距離を伸長するためのバッテリー大容量化と充電時間短縮のための技術などを考察した。