自動緊急通報サービスはまず、ドイツのユーザー向けに提供が可能となる予定だ。ボッシュ カーサービスステーションとの連絡は、欧州各国*3からドイツ語または英語で行うことができる。事故が深刻でライダーからの応答がない場合には、救急隊が直ちに現場に向かう。スマートフォンは一般的に身に付けていることが多いため、ライダーが事故による衝撃で二輪車から投げ出された場合であっても、迅速に発見することができる。
ボッシュのすべてのアシスタンス システムと同様に、ヘルプコネクトはエンジニアと社内の事故調査部門による協働の成果だ。「ライダーの安全性を向上する製品開発以前に、ライダーが直面する危機的状況を理解する必要があります」と、クローガーは述べている。実際に発生した二輪車事故の過去データを把握することで、事故の研究者は安全性を向上させる技術革新のきっかけをつかむことができる。ボッシュは自動緊急通報システムの開発のための努力を惜しむことはなかった。特定の事故シナリオを分析し、ヘルプコネクトの機能性を実証するためだけに、18回もの衝突試験を実施している。
ライダーの安全性の向上は、長年にわたりボッシュにとっての大きな懸案事項だった。グローバル規模で二輪車向けセーフティシステムを提供するリーディングサプライヤーであるボッシュは、25年前にモーターサイクル用ABSを、そして2013年にMSCを導入し、ライディングの安全性を大幅に向上させた。そして、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、衝突予知警報、死角検知を含む、レーダーベースのアシスタンスシステムのアドバンストライダーアシスタンス システム(ARAS)の導入により、ボッシュのセーフティシステムの製品ポートフォリオのさらなる充実化を図っている。
*1 2017年の二輪車(排気量125 cc以上)のデータから推計
出典:2018年2月15日付警察庁交通局「平成29年中の交通事故の発生状況」
一般社団法人自動車検査登録情報協会「自動車保有台数の推移」
*2 出典:EUプロジェクト「Harmonised eCall European Deployment(I_HeERO)」
*3 ドイツほか、オーストリア、ベルギー、フランス、イタリア、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、スペイン、スイス、英国。2020年6月現在、日本でのサービス展開はしていない。