これまで模倣品の横行によって苦しめられてきた企業は多い。やはり見た目が似ているどころか、本物と見間違えてしまうほどソックリな製品だって中にはあり、「こっちでいいや」とついつい手にしてしまうユーザーがいるというのも事実。しかし本家メーカーとしては、それを良しとするワケにはいかない!というのが、ピアッジオグループによる中国メーカーに対しての主張である。


TEXT●大家伝(OYA Den)

ピアッジオグループは模倣品との戦いを続けている

中国企業によって展示されたスクーターだが、ヘッドライトやフェンダー周りなどはベスパとソックリな意匠を採用
こちらも中国企業による展示スクーターだが、サイドパネルのプレス処理などは明らかにベスパのそれと酷似している


 今回の話の発端は、昨年の秋に開催されたEICMA 2019(ミラノモーターサイクルショー)。その際、中国企業によってデザイン登録されたスクーターの出展が行われたのだが、そのスクーターのデザインがベスパに酷似したものだったのだ。


 これにすぐさまピアッジオグループが反応。ピアッジオグループの主張によってショーの会場であるフィエラ・エキシビジョンセンターから撤収されるに至った。さらに欧州連合知的財産庁(EUIPO)の無効部門によって、デザイン登録の無効が決定している。


 EUIPOの無効部門では「ベスパ・プリマベーラの意匠登録と、それらの意匠が異なるものであるという印象は、一般的に引き出すことは不可能である」と判断し、「スクーターの美的要素を複製する違法性がある」ことも指摘している。




 そもそもベスパ・プリマベーラは2013年にピアッジオグループが登録した意匠であり、ベスパスクーターの立体商標化も行われている。加えて1946年以来スタイルアイコンとなった、ベスパの芸術的価値を守る著作権によって保護もされている。


 無効手続きはこうした事実を踏まえ、ピアッジオグループが模倣品に対して長年に渡り行ってきた様々な活動の一部である。そしてこの活動には国際的な意匠登録や商標データベースの継続的な監視なども含まれている。今回の異議申し立てにともない、過去2年間で第三者が登録した50件を超える商標への訴訟に勝訴。それら商標は取り消され、ピアッジオグループにとって大きく意味のある結果といえるだろう。


 今回の件だけでなく模倣品大国というイメージが強い中国。実際に経済産業省に寄せられる相談案件の国別統計でも7割が中国企業によるものだという。日本だけでもこのようなデータであるのだから、世界的に問題視されているのもうなずける。ピアッジオグループの活動は今後も継続的に見守っていきたいトピックである。

情報提供元: MotorFan
記事名:「 ベスパ V.S.中国コピー製品|中国企業による意匠登録の無効を宣言