これまでのスカイラインを開発現場から見てきた伊藤は、7代目が完成する間近に開発責任者となったが、「5代目(ジャパン)の頃からスペシャルティが薄れていきましが、国内で月に1万2000台以上も出るほど勢いがありました。それが、6代目、7代目になって下降線を辿って行った。これは許せない……という気持ちでした。何とかしないとスカイラインが忘れられてしまう。そんな焦りを感じていました」と振り返る。
だからこそ、スカイラインはアベレージ・ヒッターではなく、ホームランバッターとして“走り”に対する目標は高める一方で、切るべき要素は思い切って捨てたという。例えば、ボディは従来よりもリヤのオーバーハングを短くした。トランクスペースは少なくなったが、それも軽量化とコンパクト化さらに重心を低くすることで走りの性能を向上させたかったからだ。
スカイラインに期待されていないような装備をいくら付けても、決してユーザーは喜んでくれないことが過去の反省として分かっていた。他の銘柄と共用させることでコストを下げるような方策もやめ、納得の得られるクルマとして仕上げた。走って気持ちが良いこと、人間とクルマが一体感を持って走れること、ドライバーの意のままに操れるクルマとすることがを目標に掲げて新型の開発は進んだ。
そんな新型で目を引くのがGT-Rの復活だ。伊藤をはじめ、開発スタッフはスポーツマインドに溢れており、たとえ開発スケジュールに狂いが生じるとしても、品質にしろ、デザインにしろ、走り味にしろ、ちょっとでも気になることは納得のいくところまで直しを行なったという。