PHOTO●渡辺昌彦(WATANABE Masahiko)
MOVIE●佐藤 快(SATO Kai)
問い合わせ●バイク館SOX(https://bs-sox.com)
エンジンは軽量な車体に対して十分なトルクを発生。低回転でクラッチをつないでも回転が落ちることなく車体が飛び出していくし、流れの速い幹線道路でも中速までを使っていれば十分すぎるくらいの力強さがあるから、パワー不足によるストレスはまったく感じない。
エンジンの回り方はスムーズ。かすかにシングルの鼓動感をライダーに伝えながら心地よく加速していく。メカノイズも少ない。回していくと回転に比例してパワーが出てきて、そのままレブリミットに飛び込んでいく。
フラットな性格でエンジン特性に特徴的なキャラクターが与えられているわけではない。しかしその代わり、とても扱いやすい。これが重要なところ……
250ロードスポーツには、ホンダCBR250RR、ヤマハYZF-R25、カワサキNinja250と強力なライバルが揃っている。どのマシンも高回転型ツインエンジンを搭載して高いスポーツ性を発揮する。
しかしスズキのニューモデルジクサー250は、これらライバルにパワーで勝負を挑むマシンではない。低中速のトルクを重視した新開発の油冷単気筒エンジンを搭載し、実用域での扱いやすさやスポーツ性を追求しているのである。
このマシン最大の注目はやはり油冷エンジンだろう。従来の油冷は空冷に近い冷却だったが、ジクサーのエンジンは水冷エンジンのようにジャケットがあり、ヘッドやシリンダーの周りにオイルを流して冷却するというシステムだ……
実車を前にした瞬間「これは良いね」とカメラマンと盛り上がった。XSR700や900のレトロモダンなデザインは旧車好きなテスターや今回のカメラマンの好み。そのイメージを実に上手く再現していた。
ツインチューブタイプのフレームに倒立フォークを採用。タンクやシートの造形だけでなく、メーターやライト類、ハンドルやポジションに至るまで手を抜いていない。それでいて車体サイズが小さいから、とても可愛い感じがする……
今回取り上げるCBF190Rは、中国の新大州ホンダ(シンタイシュウホンダ)で生産されているモデルだが、このマシンは中国だけを狙っているわけではない。拡大しているアジアのマーケットで200ccクラスのリーダーとなるべく送り出されたマシンである。
ホンダは当初、150ccクラスのブランドイメージを構築しようと様々なモデルを投入。ホーネット160でそれなりの成功を収めたが、アジア最大のマーケットであるインドではKTM200DUKEなど200ccクラスが人気。ホンダが当時ラインナップしていたホーネット160とCB300では排気量のギャップがあった。そこで200ccクラスにCB190の各モデルが投入されることになったのである……
デザインはモダンなネイキッドスタイルだが、スクランブラーイメージのタイヤとアンダーガードが装着されている為、ネオレトロ的な雰囲気が付加されている。そのおかげでCBF190Rよりも気軽に跨ることができるマシンになっている。「CB190は魅力的だけど、激しいグラフィックでやる気満々のスポーツネイキッドはどうも気恥ずかしい」というライダーはこちらを選ぶことになるだろう。
エンジンや吸排気系はCBF190Rと同じ為、パワーフィーリングや動力性能は変わりない。中速域のトルクを重視した空冷エンジンは非常にスムーズで振動やメカノイズも少なく、ストリートで扱いやすい特性になっている。
だからといって上の方で苦しげにならないのがこのエンジンの良いところ。高回転まで引っ張っていっても特にパワーが低下するということもなくレブリミットまで回っていく。インジェクションの味付けも良く出来ていて、レスポンス自体はとても良いのにドンツキも抑えられていて、スロットル開けはじめのフィーリングも自然だ。空冷ではあるが、非常に完成度の高いエンジンである……
CB190SSは、単気筒シングルエンジンをスチールフレームに搭載したレトロネイキッドである。CB190は、様々なモデルとなって販売されていて、これまでに紹介したCBF190RやCB190TRとも同じフレーム、サスペンション、エンジンを使用している。
ただし前述の2台はシンタイシュウホンダが製造しているのに対してこちらはウーヤンホンダ。最終的なパッケージを違うメーカーが行っているから味付けも異なる……