REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●星野耕作(HOSHINO Kousaku)/山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
MOVIE●倉田昌幸(KURATA Masayuki)
「取り回し」とはバイクを降りた状態で押したり引いたり方向転換したりすること。基本的には動力を使わずに、つまりエンジンをかけずに行います。ガレージや駐輪場への出入りなどで日常的にやっていることと思います。原付や小排気量モデルであればなんてことはないですが、これが大型バイクになるほど途端に難しくなります。それは車体が大きく重くなるからです。経験上、車重が200kgを超えると取り回しが難儀になってきます。排気量で言えばだいたい600cc超ぐらいから。バイクに慣れていない人はさらに重く感じでしょう。そこで身に付けておきたいのが「取り回し」のスキルです。
大型バイクをいかに楽に安全に取り回すか。ずばり、バイクは車体が垂直状態にあるときが最も軽く扱えます。車体が完全に垂直であれば、タンクの上に置いた指一本でも支えられるほどです。逆に車体が傾斜するほど重くなっていきます。だから理想的には車体垂直のまま取り回しができればベストなのですが、それだと反対側に倒してしまうリスクも高まります。反対側にグラッときてヒヤッとした経験がありますよね。そこで対策としては、車体垂直の状態からバイクをわずかに自分のほうに傾けるのがコツです。自分から「体をバイクに寄せる」と言ってもいいでしょう。なるべく少なめの傾斜で確実に支えられるバランス点を見つけてみてください。
腰でバイクを支える形になりますが、具体的には大腿骨の付け根辺りをタンク後端部やシート脇に当てる感じにすると安定します。体格やバイクの種類にもよりますが、長身の人は自分がやや屈んだほうが腰で支えやすく、小柄な人は腕でタンクを抱え込むようにしたほうが楽な場合もあるかも。もちろん、体力に自信がある人やベテランライダーであれば、腰で支えなくても安定して取り回すことができるでしょう。それはそれで正解です。