意外なのは、その中でもっとも減少したのが「携帯電話使用等違反」(-12万5,000件)であるということ。あれ? 12月の道交法改正はもとより、昨年の重点取締事項のひとつとして、けっこう取り締まりが強化されていたのでは? これはたぶん、各メディアが道交法改正による罰則強化の話題を、度々、報道していたために、ドライバーの警戒心が強まったということも、ひとつの理由としてあるのだろう。警察さん、アピール効果抜群じゃないですか!
で、次に減少したのが「スピード違反」(-10万件)。数年前からの移動オービス導入により、さぞかし増えると予想していたのだが、やはり、移動オービス効果はこれからということか? 現状では各都道府県警に1~3台(愛知県は5台)しか配備されていないため、それほどの効果は期待できないことは当情報局でも予測していたが、今後、配備台数が増えるにつれ、検挙件数も徐々に増えていくに違いない。
注目は上表の青枠部分。そう、宝くじの1等に当たるよりも確率が低い(かもしれない)15km/h未満オーバーでの検挙数が、なんと、7倍近くにまで増えているということ。以前、当情報局では「スピード違反は15km/hオーバーから~」という記事をアップし、各交通系メディアによる後追いの同類記事もあちこちで見かけるが、7倍に増加となると、これはただごとじゃない。元々、母数が小さいだけに、全体から見れば0.003474%が0.02987%にアップしたに過ぎないが、前年はわずか43件だったものが、1年で340人に増えた、つまりほぼ1日に一人の割合で15km/h未満の超過で切符を切られたと考えれば、ちょっと見過ごすわけにはいきません。とりあえず、この辺は意識を変えなければいけないのかもしれない。
果たして、これが、低速度でもバンバン取り締まっている移動オービスの台頭によるものなのか、それとも交通違反の検挙数減少=反則金収入の減少を重く見た警察が、許容範囲を狭めているのか、今後の警察の出方に注目です。
高速道路での検挙件数を見てみると、やはりスピード違反の減少が、顕著に表れている。特に、高速道路では非反則行為(赤切符)となる40km/h超過以上での検挙数が20%近く減っている。確かにここのところ、高速道路でもHシステムを始めとする固定式オービスの撤去が進んではいるが、それが理由というわけではなく、どちらかというとあおり運転の摘発に力を入れたためと言えるのでは? 事実、あおり運転につながるとされている、「車間距離不保持」がほぼ2万件増加し、取り締まり強化の効果が如実に表れている。
もちろん、「車間距離不保持」を犯すドライバーが増えたというわけではなく、今までは見過ごされていた違反を、積極的に取り締まり始めたことがその要因だ。まるで「あおり運転」をするドライバーが増加したような、それこそ「あおり運転」をあおっている各メディアの報道には騙されないで欲しい。極端に言うと、警察が、2~3年前から世間で話題になり始めた「あおり運転」と「携帯電話使用違反」の摘発に力を入れ始めたために、スピード違反の検挙数が減った、といえるかもしれない。
いずれにしても、今年、2020年は、本格的な交通取り締まり強化の年。オリンピックが近づくにつれ、ますます厳しくなっていくはずなので、今後は、より安全運転に努めましょう!