BMEP=最大トルクNm ÷ 排気量cc × 4π(パイ:円周率) × 10
上式でG16-GTSのBMEPを算出すると28.7barと、ガソリンエンジンとしては途方もない数字が表れるのは上記の記事で綴ったとおりである。一般的にガソリンターボエンジンならば18〜24bar程度、自然吸気ガソリンエンジンならば10〜13barといったところ。ディーゼルエンジンでは高過給版で30barを超えてくると「お、やるなあ」という印象である。
では28.7barと同等のBMEPを誇るエンジンは何か。『ワールドエンジン・データ・ブック』で調べてみよう。
内径82.0×行程94.6mmの直列4気筒で排気量は1998cc。圧縮比は10.2。
BMWモジュラー設計ガソリンエンジンの4気筒版。最大BMEPを発揮しているのはプラグインハイブリッドのパワートレインとして搭載されている745e/Le用のB48である。最高出力は210kW/5000-6000rpmながら、450Nm/1500-3500rpmもの最大トルクを絞り出している。
内径83.0×行程92.9mmのV型8気筒で排気量は3982cc。圧縮比は10.5。
ダイムラーのパフォーマンス系V8エンジンでAMG主体に搭載。M176がSとGクラスに、M177が「AMG 63」シリーズに、そしてM178がAMG GTに搭載されるシリーズエンジンである。最大BMEPを発揮しているのはM178型のAMG GT 63 S 4Maticが搭載するエンジン。最高出力は470kW/5500-6500rpm、最大トルクは900Nm/2500-4500rpm。ダイムラー製エンジンのハイエンドのひとつである。
内径83.0×行程92.0mmの直列4気筒で排気量は1991cc。圧縮比が8.6と低いことからも本機のハイパフォーマンスぶりがうかがえる。
上述のM176/177/178はこのM133をV8設計としたもの。そしてこのM133自体は横置きで登場したM270、その後吸排気レイアウトを逆転させて縦置きにし、成層リーンバーン燃焼を実現したM274型をベースとする。最大BMEPを発揮しているのはAMG GLA 45搭載のエンジン。最高出力は280kW/6000rpm、最大トルクは475Nm/2250-5000rpmを発揮する。
内径83.0×行程92.0mmの直列4気筒で排気量は1991cc。数字からうかがえるようにM133の後継機種にあたるエンジンで、こちらも圧縮比はM133同値の8.6である。
M260が横置き/M264が縦置き、横置き高出力版がM139という仕立て方はM270シリーズと同様で、ダイムラーの最新エンジンシリーズのひとつ。M139は直噴とポート噴射を併用する。31.5barものBMEPを誇るのはAMGのA45S/CLA45Sが搭載するエンジン。最高出力はM133よりさらに高めていて310kW/6750rpm、最大トルクはついに500Nm/5000-5250rpmに達した。
ここであらためてトヨタGRヤリスの価格はというと、396万円。心躍る数字ではないか。