ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットで量産FF車の最速記録も続けざまに打ち立てた新型メガーヌR.S.トロフィーR。
今、勢いに乗るルノー・スポールがついに日本の聖地、鈴鹿サーキットでトロフィーRのタイムアタックを行った。
REPORT◉石川亮平(ISHIKAWA Ryohei)
PHOTO◉ルノー・ジャポン
外気温は約10℃、ルノー・スポール・テストドライバー、ロラン・ウルゴンがドライブするメガーヌR.S.トロフィーR(以下トロフィーR)が静寂を切り裂くほどのエキゾーストノートを奏でながら、最終コーナーを立ち上がってくる。一瞬でストレートを駆け抜けた。
ラップタイムは2分25秒454。静寂は歓声に変わり、ルノー・スポール、ルノー・ジャポンのスタッフ、そしてメディアから割れんばかりの拍手が沸き起こった。2014年11月に先代トロフィーRが鈴鹿サーキットで記録した2分28秒465を3秒以上縮める、好タイムだ。
ご存知の方も多いと思うが新型トロフィーRは、2019年4月にニュルブルクリンク・北コースでFF量産車最速タイム7分40秒1、そして7月にはベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットで同じくFF量産車最速となる2分48秒338を記録している。
11月26日に行われた鈴鹿サーキットでのタイムアタックは偉大な2大サーキットに続く3番めのアタックとなった。
ここでトロフィーRの概要をおさらいしておこう。トロフィーをベースとするトロフィーRは、ルノー・スポールが最も速いFF量産車を命題に威信をかけて開発した車両だ。リヤシートは消音材は取り払われ、フルカーボンボンネットや薄型ガラス、7インチタッチスクリーン(通常のモデルは8.5インチ)の採用、そして驚くべきはメガーヌR.S.のキモともいえる後輪操舵の4コントロールも外されていることだ。これにより約130kgの軽量化に成功している。
1.8Lターボエンジンのアウトプットはトロフィーと同じく300ps/400Nm(MTモデル)だ。
リヤタイヤを操舵することで(低速走行時は逆位相、高速走行時は同位相)抜群の回頭性と高速時のスタビリティを確保している4コントロールを取り払った意図が気になったのでルノー・スポールに問いてみた。
「トロフィーRは、高いパフォーマンスを持った最速FF量産車でなければならない存在です。サーキットでタイムを削るには軽量化が最も効果的でした。4コントロールを排除することで約35kgの軽量化に貢献しています。4コントロールを排した代わりに、フロントフロアをフラット化し、新たに専用のリヤディフューザーを採用することで、高速域のスタビリティを確保しているのです」
ちなみにトロフィーRは4コントロールだけでなく、4輪ハイドロリック・コンプレッション・コントロール(HCC)も採用されていない。足まわりは16mmの車高調整が可能なオーリンズ製車高調が入れられている。新型メガーヌR.S.で採用されたJTEKT製LSDはロック率を変更することなくトロフィーRにも採用されている。
実は今回のアタックに先駆け、今年2月、ルノー・スポールはプロトタイプを持ち込み、鈴鹿サーキットでテストを行っていたという。その時、アドバイザーとして協力を仰いだのが日本を代表するトップドライバー谷口信輝選手だ。鈴鹿を知り尽くす谷口選手と卓越したテクニックを持つロラン・ウルゴン氏のタッグにより、今回のスーパラップが実現したといっても過言ではない。
さて、気になるトロフィーRの発表だが、2020年1月の東京オートサロンにて正式発表されることが決定している。世界限定500台のうち日本には50台ほど導入されるそうだ。ちなみにカーボンホイール、セラミックブレーキを採用した特別仕様のトロフィーR「カーボンフォルム」は、約30台生産され、日本の割当は4台ほどとのこと。予想価格は700〜800万円台後半か? 即完売が予想されるので、欲しい人は今からディーラに相談したほうがいいだろう。