PHOTO●重松浩平/山下博央/山田俊輔 REPORT●山下博央
2014年に登場し、若い世代のライダーを中心に人気を集めたヤマハのYZF-R25が2019年、フルモデルチェンジを果たした。すでに国内での発売も開始されているが、どこがどう変わったのか、みていこう。 まず、外観はヤマハのMotoGPマシンYZR-M1からの流れをくむR-DNAを引き継ぎ、兄貴分のスーパースポーツモデルYZF-R1やYZF-R6に似た外観となっている。パッと見はYZF-R6と見間違えてしまうほどで、そのスタイルはよりスポーティな走りが楽しめるのだろうと期待感を抱かせてくれる。部分的に見ていけば、フロントカウル前方に空いたM字型ダクトなんて、YZR-M1のそれと同じ形状だし、ガソリンタンクカバーの音叉マーク前にあるスリットも、YZR-M1には欠かせないデザインとなっている(ちなみにYZR-M1はECUなどのコンピュータの放熱用と思われる)。また、フロントフォークは倒立フロントフォークが採用され、フロントフェンダーの形状もYZR-M1に似せたものとなっている。 新型R25はフロントまわりの形状の変化に目を奪われがちだが、実はガソリンタンクやタンクカバーの形状も見直されており、タンクの高さを低くして横にボリュームを持たせた形になっている。これは前傾姿勢をしやすくするためと、制動時やコーナリングのホールド性をアップさせる目的があったという。つまり、車体全体でマスの集中化が図られて、よりR1やR6と似たスタイルとなっている。写真で見ていたよりも実物はかなりカッコよかったのだ。 実際にまたがってみると、以前よりもスポーティなポジションになっていることが分かるが、前傾姿勢がきつい、というわけではなく、時にはスポーティで、時にはゆったりとツーリングを楽しむには最適なポジションとなっている。足着き性はかなり良好で、シート高は780mmで、シート幅もスリムなため、女性ライダーにも安心して乗れるポジションになっているだろう。 そしてまたがってみると気が付くのがハンドルクラウンやメーターにもR-DNAが継承されていること。ハンドルクラウンはR1やR6と同じように肉抜き加工が施されており、見るからにレーシーなハンドル回りとなっている。また、メーターはR1やR6のようなフル液晶タイプが搭載されている。 レーサーレプリカ世代の筆者は「レーシングマシン譲りの……」という表現に弱い。しかし、新型R25はヤマハのレーシングマシン譲りのスタイルと技術が投入されて、より精悍なバイクとなって登場した。スポーティな走りを楽しみたい若い人はもちろんのこと、レーサーレプリカ世代の人にも楽しめるバイクになっていた。