富士スピードウェイでは、180km/hの速度リミッターが切れた状態で、1分55秒くらい。ストレートエンドの最高速は250km/h弱は出ているはず。鈴鹿サーキットでは、2分25秒くらいかな」
と、他車のタイム実績やスペック、試乗でのフィーリングから、予想タイムを即答した織戸選手。570psのR35GT-Rにはかなわないまでも、ナンバー付きの市販車そのままでこれだけのタイムを出せるとは、かなりのハイポテンシャルぶりをうかがわせる。
ではサーキットでアタックすると、乗り味はどのようなものなのか。これだけのタイムを出すくらいならば、スパルタンなコーナリングマシンなのか?
「電子制御のリアデフが乗り味に大きく影響しているけれど、袖ヶ浦フォレストレースウェイでのプロトタイプ試乗では、ウエット路面で、しかもタイヤとのマッチングが適正とはいえなかった。
でも、この電子制御リアデフは、ドライ路面ならばイメージは大きく変わるはず。ワザとスライドさせるような走りではなくて、リアの接地を維持して、グリップさせてスムーズに速く走らせようとすると、とても曲がりやすくていい感触だろう。
A90の乗り味は、ポルシェに代表されるような、「スポーツカー」というものではなくて、あくまでも「グランツーリスモ」的なものを狙ったもの。ショートホイールベースから、ハンドリングレスポンスは極めてシャープな応答をするけれども、ビックリするほど、「スポーツカー」という感じではないのが印象的だった。
とはいえ、そのような感触は、純正からタイヤを換えれば、だいぶイメージは変わるはず。国産のハイグリップタイヤを履けば、まるで様変わりするだろう。
それからに、タイヤサイズを18インチにすることに興味がある。純正は19インチだったが、(エアボリュームが増える)18インチにしたほうがマイルドになり、懐が深い乗り味になるはずだから。車格に対して、19インチは大きすぎる印象かな」
と、モディファイの方向性も教えてくれた織戸選手。でも、最後にひとこと付け加えてくれた。
「A90はタイムを狙うようなクルマではなく、グランドツーリングカーだからね」