開発コンセプトや技術説明等の披露は発表会の常だが、イルミネーションも煌びやかな表参道周辺を走るミニ試乗会も実施。後には懇親会へ続くお洒落なイベント。日本市場にかけるトライアンフの意気込みの強さを物語っていた。
REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
「ワイルドだろう」!と思わず自慢してみたくなるフォルムは何とも懐かしく、かつ新鮮な雰囲気に包まれている。900ccの並列ツインを搭載するボンネビルをベースにダートロードでも不安なく扱える。走る場所の自由度は高い。そんな機能的エッセンスを散りばめてデザインされているのだ。アップハンドルと右側2本出しのサイドアップマフラー。そして土の上でもグリップ力に優れるブロックパターンタイヤの装備が特徴的である。
早速スタートすると背筋を伸ばした姿勢で走れ、堂々と見晴らしの良い乗り味を直感する。ハンドルはワイドで、バイクを扱う取まわし操作や小回り等の操舵力も軽快。積極的な操作もしやすい感じである。例えば工事中の砂利道に遭遇しても減速いらずで、舗装路同様に不安なく快走を続けられるだろう。
大幅にパワーアップされた270度クランクの新エンジンは優しさを感じるパルス感で着実な駆動力を発揮。市街地の渋滞路走行でも柔軟で扱いやすい。ズ太いトルクも穏やかで、おおらかな気分でツーリングできると感じられるものだった。天気の良さに誘われて、思い立った時に一人気ままに旅にでる。冒険心も満足させられる楽しい1日になることだろう。
標準的ロードスポーツモデルのボンネビルは多くの派生モデルを生んでいる。スラクストンやボバーも良く知られているが、やはりバーチカルビッグツインエンジンの存在が大きいだろう。空冷(実は水冷だが)然とした冷却フィンを持つシリンダーや、キャブレター(実は電子燃料噴射式だが)を思わせる吸気系から太いエキゾーストパイプへつながるレイアウトに、トライアンフブランドのプライドが感じられ、基本の変わらぬスタイルに魅了される要素がある。
中でもカスタムを楽しむベース車として人気の高いのがストリートツインだ。ご覧の通り外観デザインはいたってオーソドックス。少しアップしたハンドルを握る乗車姿勢はスマートな印象。ロングのダブルシートが装備され、ピリオンステップ位置も適度で二人乗りはとても快適そう。
80Nmの最大トルクは3800rpmで発揮され、発進した瞬間からとても柔軟で頼り甲斐のある出力特性を実感。市街地で走りやすく、それでいてアクセルをひと開けした時のパンチ力も十分なものがある。試乗はチョイ乗りに過ぎなかったが、郊外や高速でも常にユトリのあるハートに優しい走りが期待でき、頼もしい乗り味が魅力的である。
スクランブラーも同様だが、多くのカスタマイズに対応している点も見逃せないところだ。