そこで日立は、これまでIT分野で培ってきたソフトウェアを主体とする機器制御技術の知見を生かして、産業機器や自動車の自動運転用に、ソフトウェアにより制御システムの機能を柔軟に変更することができるミドルウェア技術を開発した。本技術では、制御システムの自動運転中に、外部センサーからの入力情報や、入力情報を判断し次の動作を決めるための計算値をバックアップ領域に保存。制御システムの機能を変更する場合には、バックアップ情報を用いて、入力情報の再生や、次の動作を決めるための計算値の上書き修正を高速に実施する。これにより、信頼性や安全性の高い自動運転の実現が可能となる。
今回、日立と日立オートモティブシステムズは、1/10スケールの実験車両で自動運転を模擬し、本技術を検証した。CPUの故障が発生し機能の変更が必要な状況を模擬するため、実験車両の試験走行時に、ソフトウェアの停止命令を発行し、疑似的に制御システムに異常を発生させても、ソフトウェアを修正して制御を開始するまでの時間が従来比約7倍に高速化し、安定した走行制御を継続できることを確認した。
今後、日立は、実証実験などを行い、本技術を産業機器や自動車などのモビリティシステムへの適用をめざす。また、日立オートモティブシステムズでは、本技術を搭載した自動運転ECUの製品化について、日立との連携により検討を行い、自動運転システムの普及拡大をめざしていく。