ITERは、将来のエネルギー源の一つとして期待される核融合エネルギーの科学的、技術的な実現可能性を実証することを目的に、日本、欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドの7極が参画し建設が進められている熱核融合実験炉。熱核融合発電は、燃料の重水素と三重水素を1億℃以上のプラズマ状態に保ち、核融合反応させることで発生した熱を利用して発電する。燃料資源が自然界に多く存在するため、長期にわたって安定的に燃料が確保できる次世代の発電システムとして期待されている。
トロイダル磁場コイルは、核融合反応に必要な高温のプラズマを閉じ込めるための磁場を発生させる超伝導コイルで、ITERでは18基が用いられる。1基当たり高さ16.5m、幅9m、重量300tのD字型形状をした世界最大級の超伝導コイルで、同コイルは超伝導コイル部分とそれを収納するコイル容器で構成される。
東芝エネルギーシステムズは、そのうち同コイル4基とコイル容器6基の製作を担当している。これらは超高精度な製作が要求される大型コイル・構造物であり、大型エネルギー機器製作等で長年培った同社の知見と高い製造能力を駆使し、2025年のITER運転開始に向け、QSTと協力し、順次残りのコイル製作を進めていく。