EVS31で展示されたトランスミッションのカットモデルを見ると、エンジントルクの入力は遊星ギヤを介して減速→MG1→遊星ギヤ(THSによる動力分割機構か)→平行軸ギヤによる減速→★遊星ギヤによるモーター入力のためのさらなる減速→MG2→電子制御カップリングユニット→プロペラシャフトというトルクフローになっている模様。なお、★の部分ではトルクは前輪へも分配されている。
つまり、リリースには「new Lineartronic CVT」とあるが、従来のチェーン&プーリー式のバリエータ型CVTとはまったく異なり、いわゆる電気式CVTにあたるユニットを積んでいるわけだ。
MG1のパフォーマンスは諸元表に無記載、MG2については10kW/65Nmとある。なお、システム出力としては110kWとしている。二次電池はリチウムイオン式、電圧は351.5V/容量は25.0Ah、つまり消費電力量は8787.5kWh(8.8kWh)である。なお、モーター走行レンジは17マイル(=27.2km)、総走行距離は480マイル(=768km:EPA)を確保している。
エンジンはもちろん水平対向4気筒、排気量は2.0ℓで燃料噴射は直噴を用いる。ボア3.31インチ×ストローク3.54インチとあるので、FB20型である。圧縮比は13.5と、相当な数値。燃料の種別が記載されていないが、おそらくオクタン価90を使用。かりに日本に導入されたとしても、レギュラーガソリンのオクタン価は同値なので、圧縮比は13.5に近い数字になるだろう。
参考までに、先行しているXVのe-BOXERに搭載されているFB20型と比べてみると──
102kW/5600rpm 181Nm/4400rpm 13.5【クロストレックPHEV】
107kW/6000rpm 188Nm/4000rpm 12.5【XV e-BOXER】
という具合。おそらくミラーサイクルを用いて高効率運転に努めるとともに、熱効率も相当追求している仕様になっていると思われる。