帝人は2017年1月、北米最大の自動車向け複合材料メーカーであるContinental Structural Plasticsを買収し、Tier1サプライヤーとして複合成形材料事業を展開している。 2011年には、世界初のCFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastic:熱可塑性炭素繊維複合材料)の1分間での成形量産技術を確立し、「Sereebo」ブランドとして展開している。
欧州ではテイジン・カーボン・ヨーロッパにおいて、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:熱硬化性炭素繊維複合材料)の端材を極小化するプリフォーム製造技術「PvP」(Part via Preform)を核に一貫生産体制を構築し、欧州の自動車メーカーからTier1認定を得て、既に市販車の構造材に採用されている。さらに、CSPの傘下にあるフランスの現地法人、CSPヨーロッパにGF-SMC工場の新設を決め、欧州での複合成形材料事業の拡大を模索していた。
こうした中、帝人は欧州における自動車向け複合成形材料事業の拡大に向けて、欧州の自動車メーカーに幅広い採用実績を有するInapalを買収することとした。
今後、帝人は複合成形部品のTier1サプライヤーとして、地域戦略とマルチマテリアル戦略により、自動車メーカーに対するグローバルソリューションプロバイダーとなることを目指していく。
地域戦略としては、このたびの買収を、自動車向け複合成形材料事業における欧州展開の第1弾と位置づけ、今後さらにM&Aを模索し、欧州の自動車メーカーの部品供給パートナーとして拡大を図るとともに、EV化の進行が予想される中国などへの展開を強化していく。マルチマテリアル戦略においては、既にCSPで具現化が進んでいるように、コストや成形性などを考慮した異素材との複合化も模索し、顧客ニーズを先取りした部材提案を可能とする体制の構築を目指す。
こうした展開により、今後一層厳しくなる環境規制に対してソリューションを提供する事業体として、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業で売上2,000百万米ドル規模へと拡大していくことを目指す。