全盛期は「JZA80でメーター読み340km/h出るんですけど、測ってもらえませんか?」なんて電話がかかってきたり、「仕様変更してタービンをT88に交換したんで、ぜひ一度クルマを見てもらいたくて」と、どこで調べたのか小野ビット隊のたまり場にZ31で押しかけてくる最高速アタッカーがいたりと、かなりアツイことになっていた。
こりゃ誌面では伝えきれなかったオモロイ話やエピソードがたくさんあるに違いない…。
そう直感した取材班は、行方をくらませていたKENTAROとOMUSOBAへの接触を試み、渋る2人をなんとかなだめすかし、インタビューにまでこぎつけることに成功した。
以下、その時のやりとりである。
--- そもそも『小野ビット隊』を結成したきっかけは?
KEN:オレらのたまり場の片隅に、もう10年ちかく、
小野ビットがほこりを被ったまま放置されてたんだよな。
OMU:そうそう。谷田部最高速の時代はあんだけ使われてたのに、
いつしかそういう出番がなくなって放ったらかしになってて。
KEN:しかも2003~2004年くらいから、計測器っつうと、
GPSを使った『V-BOX』が主流になりつつあったから、なおさらね。
OMU:個人的には谷田部最高速時代に対する憧れがあったし、
つまりは「計測器と言えば小野ビット!!」って思ってたから、
もう一度あの輝かしい時代を取り戻せないもんか、と…。
KEN:当時600万円もした計測器なんで、遊ばしとくのももったいない。
んで、「コレ使ってなんかできねーかな?」なんて話をしてたんだ。
--- え? 600万円もしたんスか、小野ビットって!?
KEN:そうみたいよ。オレも聞いた話だけどね。
OMU:そしたら、タイミングがいいのか悪いのか(笑)、
某チューナーがオレらのたまり場にひょっこり現れて、
たまたま東海エリアのストリート最高速事情を尋ねたわけ。
KEN:オレらは「伊勢○岸で踏んでる連中がいるんじゃね?」なんて思ってたんだけど、
そのチューナーいわく、「伊勢○岸は横風があるから本気組は走ってないよ。
踏んでる連中は山側…東海○状だね」なーんて情報をもらってな。
OMU:「だったら、小野ビット背負わせて最高速測っちゃう?」みたいな。
--- また、ずいぶんと軽いじゃないッスか…。
KEN:某チューナーもノリがよくて、「だったらチューニングカー集めるよ!」って。
ものの10分くらいで話がまとまっちゃったんじゃなかったっけ?
OMU:いま思うとスゴイよね。雑談から企画が決まっちゃったんだから(笑)。
KEN:こうして超少数精鋭の『小野ビット隊』が結成されたわけよ。
--- ここでちょっと疑問が。なんで『V-BOX』を使わなかったんスか?
OMU:お、なかなかいい質問じゃない(笑)。
たしかに『V-BOX』は取り付けが簡単だし、そのぶん計測台数も稼げる。
ロギングデータをPCに落とせば、走行状況をリプレイできたりもするし。
KEN:ただ、ひとつだけ致命的なことがあって、
「オレらが想定してる環境じゃ使えないよな…」と。
--- というと…?
OMU:最高速の計測は、できるだけ横風がないところでやりたいわけよ。
KEN:横風の影響がほとんどないのって、どんなとこだと思う?
--- あ、トンネルだ!
OMU:そう。トンネルなら極端な話、雨が降ってもだいじょぶだし。
KEN:でも、GPSを受信できないっしょ。
『V-BOX』はトンネルで使えない。そこが致命的だった。
OMU:あとはGPSの受信状態がよくなかったからなのか、
サーキットテストでデータが全く取れてないこともあったっけ。
KEN:たしかに、計測器として安定してない印象はあったかも。
そんな経験もしてたんで、最高速の計測器としては、
もう『小野ビット』以外に考えられなかったわけよ。
OMU:そもそも当時、OPTION財団が総力を結集してつくったのも、
全天候型(=トンネル)のテストコースだったしね!
--- 全国に2ヵ所あるというウワサの…
KEN:おっと、いけね。もうこんな時間じゃん。
OMU:ヤベッ、仕事に戻んないと怒られちゃうし。
--- じゃ、続きは来週ってことでお願いしまッス!