そのような世界のエンジンだから、パーツ選択を誤ると壊れることも多いけど、以前と比べて現代のチューニングエンジンはパーツも優れ、チューナーもノウハウが豊富にあるから、きちんとメンテナンスさえしていれば壊れることが少ないけど、ちょっとした隙に違ったパーツを選択してしまい、ブロー寸前になってしまうこともある。
そのひとつが点火プラグだ。
点火プラグは混合気に爆発のきっかけを起こさせる大切な物だけど、点火系を強化しても意外と見落としがち。特に燃焼室の形状を変化させたり、圧縮比を上げたりしている場合は注意しなければならない部分でもある。
例えば抵抗入りのプラグをやめ抵抗無しのタイプの方が、点火が強いだろうと考えて抵抗なしプラグにしたりすると、ノイズを拾ってしまって上手く信号が送れずパワーが落ちてしまうことも。そう、プラグは奥が深いのだ。
写真で紹介しているプラグは、日産L型 L28改フルチューンを製作し慣らしを終わり、はじめてサーキットで全開チェックした時に起こったもので、熱価の問題も合わせて電極が溶けてしまった。(右側)
使い古しでも何でも無く、新品のプラグだ。圧縮比(この時は12.5:1)の問題や燃焼室の形状が絡んでいた(後に判明)が、結果的に9番でも怖かったのでレーシングの10番相当の物にして溶けなくはなったが、こんがりきつね色という理想な色ではなく、白っぽかった。
反省点としては全開走行1周程度にしておき、ピットに入りプラグを点検しておけばこのようなことはなかったと思われる。ここまで溶けて無く、兆候が必ずあるからだ。
溶けた電極(破片)がどこかに当たって(本当に溶けたかもしれない)圧縮も下がってしまったり、ピストンやシリンダーにダメージを与えてはいなかったのが不幸中の幸いで、パワーダウンはなかったと思われるが、何らかのダメージは確実に与えてしまったと考えている。
走行10分でプラグを見ていたからトラブルを早めに発見出来たけど、もし見ていなかったら更なるトラブルが起きていたと思われる。
このようにサーキットや高負荷を掛ける時は、くれぐれもプラグの点検を忘れずにしておこう。そして、自分で判断せずプロフェッショナルにアドバイスをもらうことも忘れずに行なうことが、結果的にトラブル無く速いエンジンが出来る。