UL Safety Index は、「Institutions and Resources: 組織力と国力(経済および教育等)」、 「Safety Frameworks: 安全性向上への取り組み(法規制や安全性を高めるインフラストラクチャーの整備)」、および「Safety Outcomes: 安全性に関する統計結果(不慮の怪我・死亡の発生数)」の3つの安全に関する推進要因に基づいて、各国の相対的な安全性評価を提供する。そして、187ヵ国のそれぞれの国に対し、0〜100の値で総合安全指数を算出する。
*米国は、89ポイントで前回の91ポイントからわずかに減少したが、高い数値を維持した。「交通安全」においてはマレーシア、フィンランド、アルゼンチンに次いで69ポイントであった。
*オランダ、ノルウェー、オーストラリア、スウェーデン、カナダが最も高いスコア(92ポイント以上)を獲得した。一方、ソマリア、南スーダン、ギニアビサウは21ポイントを下回った。
*日本は東アジア地域において最も高いスコアとなる89ポイントを獲得し、中でも「交通傷害」と「中毒」の発生率に関して高スコアを獲得した。新評価項目である「交通安全」に関しては95ポイントで、世界ランキングでも7位と、比較的高いレベルを保持している。一方で、「転倒」に関しては66ポイントで、世界ランキング160位と非常に低く、昨今の高齢化問題が浮き彫りになっている。
*全ての要因の中で、経済や教育レベルを示す「組織力と国力」が総合安全指数に最も大きな影響を与えた。例えば、インドの「Safety Frameworks: 安全性向上への取り組み」は73ポイントを超える比較的高いスコアだが、「Institutionsand Resources: 組織力と国力」では強い組織や資源等の欠如から、43ポイントを下回り、総合安全指数は63ポイントとなった。
ULパブリックセーフティー部門のディレクター、デイビッド・ロス氏(DavidWroth)は、次のように説明している。
「最新のデータを組み込むことで、ULSafety Indexは各国の安全性を示すより充実したツールとなりました。最大の変更点は、新たに「交通安全」に関する評価項目を加えたことです。交通事故は不慮の負傷や死亡の最大の原因の一つであることから、評価項目として含めることが不可欠であると考えました。2016年発表したUL Safety Index (2013年当時のデータによる)と比較すると今回『上位10ヶ国の順位』に変化があり、この交通安全に関するデータの影響が表れている点は非常に興味深いところです。
安全とは、複数の可変の要素がそれぞれの機能を果たすシステマチックなものであり、各要素がどのようにつながり合っているかという結果が、UL Safety Indexとして提示されます。UL Safety Indexは毎年更新される予定で、この指数がもたらすメリットを最大限に享受できる国における安全に関する改善点が『SafetyOutcomes: 安全性に関する統計結果』のスコアに肯定的な変化として現れることを、心より期待しています」
“世界中の人々の生活と労働環境の安全性を促進する”というミッションの下、ULは、この定量的評価を通じて、公衆衛生と安全に関する対話を継続していく。2016年に政策立案者やその他のステークホルダーによる安全問題に関する意思決定を促進するために開発された本ツールは、安全性の向上に向けた投資の優先順位の割り出しに活用することも可能。また、本新バージョンの指数は各国の経年推移を確認できるようになった。
UL Safety Indexでは、生データや安全指数を広く公開することに加え、世界中の多くの方々が活用できるよう、コンテンツライブラリを作成した。さらに、政府やその他のステークホルダーが世界各国で実施している効果的な政策およびプログラムのデータベースを収集し、整理・体系化している。今後ULは国別のケーススタディや政策立案者向けのツールキットを作成し、発表していく予定。
ロス氏は、次のように述べている。
「当初、UL Safety Index安全に関する対話・議論を活性化し、それぞれの国の問題解決を促すことを目標としていました。公表から1年を経て、南アフリカ、インド、ベトナムではツールとしての採用に向けた具体的な議論が始まっており、これらの地域のステークホルダーと緊密に連携しUL Safety Indexがどのように意思決定のプロセスに活用できるか話し合っています。UL Safety Index は、各界のリーダーに情報を提供するだけではなく、他者に行動を促すのに役立つストーリー、政策、そしてプログラムとなり得るのです」
UL Safety Indexおよび同指数の算出法や引用データ等に関する詳細は、下記を参照。
https://ulsafetyindex.org/
*UL Safety Indexは、不慮の負傷・死亡のみを対象とし、紛争による負傷・死亡
については対象に含まれていない。