特に当ての無いまま中央高速道に乗って下り方向へ。するとふと高校時代、半世紀も昔の記憶が蘇って来た。始業の2時間半前に家を出て田舎方向へ走り、ちょうど1時間で引き返して学校へ向かう通学前のミニツーリング。寒さの薄らいだ春先の空気感の中を駆け抜ける心地よさは格別の物があった。
今回そんな気分にさせてくれたのは、Z900RSカフェならではの、若干攻撃的なライディングポジションのせいだったのかもしれない。
記者の記憶が正しければカフェレーサーのブームは70年代の中頃にイギリスで流行りはじめ、その話題は日本にも渡来。過激なレーサーレプリカすら存在しなかった時代において、それは最もスポーティでエキサイティングなバイクだったのである。カフェレーサースタイルにおいて必須となるポイントはハンドルだ。普通のロードスポーツが採用しているアップハンドルを幅が狭い一文字ハンドルに換装する。
グリップ位置が遠く低くになり幅もスリム。さらにはバックステップやシングルシートに換装してスポーティな前傾姿勢と深いバンク角を稼ぎ出すのがお決まりのパターンだ。とは言え、普通の街乗りでそこまではやり過ぎと思う人は、その中間的存在のスワローハンドルを取り付ける事が多かった。
Z900RSカフェはまさにそんな当時のカフェレーサーを再現。スワロー然としたローポジションハンドルとフロントカウルの装備。シートやマフラーの仕上げも専用となり、ベースとなったZ900RSと比較して2 万円高いだけという価格設定もソソられる。
今回は撮影や市街地の足代わりも含めて郊外、高速と峠道と合わせて約220 ㎞を走行。メーターによる平均燃費はちょうど20㎞/Lを示していた。なお、満タン法計測による実燃費立は19.5㎞/Lだった。エコランを心がけたわけではなく、自由に楽しく走った割にはなかなかの好燃費率である。
■Z900RS CAFE 諸元■
・全長×全幅×全高:2,100mm×845mm×1,190mm
・軸間距離:1,470mm
・最低地上高:130mm
・シート高:820mm
・キャスター/トレール:25.0°/98mm
・エンジン:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ
・総排気量:948cc
・内径×行程/圧縮比:73.4mm×56.0mm/10.8:1
・最高出力:82kW(111PS)/8,500rpm
・最大トルク:98N・m(10.0kgf・m)/6,500rpm
・始動方式:セルフスターター
・点火方式:トランジスタ点火
・エンジンオイル容量:4.2L
・燃料供給方式:フューエルインジェクション
・トランスミッション形式:常噛6段リターン
・クラッチ形式:湿式多板
・フレーム形式:ダイヤモンド
・懸架方式:前テレスコピック(インナーチューブ径 41mm)/後スイングアーム
・タイヤサイズ:前120/70-17/後180/55-17
・ホイールサイズ:前17M/C×MT3.50/後17M/C×MT5.50
・ブレーキ形式:前デュアルディスク300mm(外径)/後シングルディスク250mm(外径)
・ステアリングアングル (左/右):35°/ 35°
・ 車両重量:217kg
・使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
・燃料タンク容量:17L
・乗車定員:2名
・ 燃料消費率(km/L):28.5km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)/20.0㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)
・最小回転半径:2.9m
・メーカー希望小売価格:1,350,000円