2015年の創業後、もっぱら日本で営業してきたが、海外での事業展開の余地を並行して検討してきた。また海外でのプロジェクト推進経験を持つメンバーを重点的に採用してきた(米国・英国・シンガポール・インドネシア等)。
今回、Hacobuが日本で展開しているオンライン求車プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」をベースとしたソリューションを、豊田通商グループのリソースを活用しながら、18年前半より実証実験を行う。
(1)Hacobuが、MOVOをベースとしたクラウドベースのオンライン求車機能の国際対応版をタイ国にて提供
(2)豊田通商のタイ国連結法人であるTTK Asia Transport が運用するトラックを、上記プラットフォームに登録
(3)バンコク地域周辺のメーカー、物流事業者等を荷主としてプラットフォームに登録
(4)荷主が配送案件を登録し、TTKATの空きトラック、及び関連するビジネスパートナーのトラックとマッチングさせ、荷物を運ぶ
豊田通商グループは、トヨタグループの総合商社としてグローバルにおける強力なネットワークを保有。タイ国においても、グローバル製造業各社と商流上の深い繋がりを持っており、物流に関しては、物流拠点の運営を行うTTK Logistics (Thailand) CO.,LTDや製造業向け輸配送を担うTTKATといった子会社を運営し、一般的な商社機能に留まらず、物流の現場に自ら入り込んでいる。
今回Hacobuの実証事業に協力するTTKATは、自動車メーカー等の輸配送を長年請け負うなど、高い配送品質に定評がある。HacobuはASEAN展開を検討するにあたり、商流/物流両面で強力なネットワークを持つ豊田通商グループと取り組むことにより、迅速かつ確固たる事業の立ち上がりを実現していく。
タイ国の物流市場規模は2014年には717億ドルだったが、2019年に965億ドルに達するという観測もある(Frost &Sullivan、2016年)など、急速な成長が見込まれる。また日本の2015年度における市場規模が20兆1,755億円(矢野経済研究所、2017年)と推計されていることと比べても、日本の半分程度の規模にまで拡大している。
タイ国政府は、今後タイ国を大メコン圏の貿易・サービスの中心として位置づける方針であり、その中でロジスティクス、特にミャンマー、カンボジア、ラオス等とのクロスボーダーも含めた陸上運送の存在感は、必然的に高まっていくとHacobuは考えている。
Hacobuは、タイ国の物流市場の規模・成長性だけではなく、デジタルインフラの成熟度という観点からも、クラウドプラットフォームを使った物流情報のデジタル化に取り組む意義があると考えている。タイ国におけるスマートフォンの普及率は70%(グーグル、2016年)と日本の56.8%(総務省、2016年)よりも高く、また3Gもしくは4G回線普及率は2016年時点で92.81%(OpenSignal)となっている。
このように物流情報デジタル化の前提となるインフラが整いつつあること、また将来的に人件費が高騰する可能性が高いと見ていることから、Hacobuはタイ国において、遠くない将来に物流オペレーションのアナログからデジタルへのシフトが進むと考え、今のうちから布石を打つことに意義があると考えている。
Hacobuは、今回の実証実験を成功させ、タイを起点として、豊田通商グループと共に、物流情報プラットフォームをASEAN全域に拡大していくことを企図している。それによって、製造業をはじめとするB to B物流のユーザーに対して、物流情報のデジタル化を支援し、ビッグデータを用いた最適化の実現を図っていく。また提供するサービスの範囲も、今回実証実験を開始するオンライン求車(配送マッチング)に留まらず、日本でHacobuが提供しているサービスの横展開や、ASEAN地域を対象とした新たなサービスの開発も柔軟に行っていく。