FPGAとはField Programmable Gate Arrayの略。プログラミングによって動作変更が可能なLSI。
人工知能は、ディープラーニングによる高度な情報処理ができることから、さまざまな分野での活用が見込まれる。三菱電機は、2016年に少演算量により省メモリーを実現し、組み込み機器などに容易に搭載できる「Maisart」の一つの「コンパクトな人工知能」を開発したが、今回、その少演算量アルゴリズムを最適化することで、小規模なFPGAにも搭載できる「コンパクトなハードウェアAI」を開発した。これにより、リアルタイム性の向上と低コストが実現できることから、家電、エレベーター、高精度地図などへの人工知能の適用分野の拡大に貢献する。
【開発の特長】
1.FPGAに「コンパクトな人工知能」の実装を実現し、リアルタイム性を向上
ディープラーニングは高度な推論が可能だが、多層のネットワーク構造を用いるため、推論に必要な演算量・メモリー量が膨大になる。三菱電機は、ネットワーク構造と計算方法の効率化を実現した「Maisart」の一つの「コンパクトな人工知能」を開発したが、その特長を生かしつつFPGAに実装するには計算順序の効率化などの課題があった。今回、さらなる計算順序の効率化により課題を解決し、さらに、回路構成を最適化することで「コンパクトな人工知能」をFPGAに実装する技術を開発。従来の推論の精度を維持しながら、処理にかかる演算時間も10分の1に短縮した。
2.回路構成を小型化し、小規模なFPGAへの実装により適用分野を拡大
組み込みCPUに加え、より小規模なFPGAでも、組み込み機器上でリアルタイムに推論の処理を実現した。これにより、リアルタイム性が求められる高精度地図などで人工知能を用いる際のハードウェアのコストが低減できる。また、小規模なFPGAに「コンパクトな人工知能」を実装することで回路小型化による低消費電力も実現することができ、家電やエレベーター、高精度地図などへの人工知能の適用分野拡大に貢献する。