2台のレプソルカラーのスーパーカブ110。
マルク・マルケスとダニ・ペドロサがホンダレーシング・サンクスデーの
スーパーカブ・レースで駆ったマシンそのものだ。
その背後にはマルケスのチャンピオンマシン、RC213Vもディスプレイ。
この、ホンダのボトムエンドとハイエンドをそれぞれ担う2車種には、
意外な共通点があったのだ。
ホンダ・ブースで異彩を放っていたこの2台。レプソルカラーを身にまとった新型ホンダ・スーパーカブ110で、2017年12月にツインリンクもてぎで開催されたホンダレーシング・サンクスデーにおいて行われたスーパーカブ・レースでGPライダーのマルク・マルケスとダニ・ペドロサが駆ったマシンそのものだ。4輪が主役のオートサロンにおいてはもちろん脇役であるはずだが、なぜかブース中央に置かれていたため注目度は抜群! 撮影中も「なにこれカワイイ!」とか「この色、売っているの?」といった声があちこちから聞こえてくる。
市場の声に耳を傾けて商品企画の参考にすることがショーの大きな目的であることを考えれば、レプソルカラーのスーパーカブが発売される可能性もおおいにあり得る?
そんな2台のスーパーカブ110の背後には、2017年のMotoGPを制したマルク・マルケスのRC213Vと、インディ500のウイナーとなった佐藤琢磨のダラーラDW12が飾られている。スーパーカブとRC213V……いわばホンダ2輪のハイエンドとボトムエンドを担う2車種が同じレプソルカラーをまとい、至近距離に展示されていたのはとても興味深い。
そんな2台を見比べていて、記者はふと意外な共通点に気づいたのだ。ご存じの方も多いかと思うが、レーシングマシンは市販車と違い、シフトパターンが上下逆になっている。一般的な市販車はシフトペダルを下から上にかき上げてシフトアップしていくが、レーシングマシンはフルバンクしながらシフトアップしやすいよう、踏み込んでいくとシフトアップとなる。
一方、スーパーカブが採用しているロータリー式(リターン式の一種)チェンジペダルは、ステップの前後にペダルが設けられたシーソータイプで、前ペダルを踏み込むとシフトアップ、後ペダルを踏み込むとシフトダウンとなる。革靴などを履いていてもつま先を傷つけず、ゴム長靴などを履いていても運転しやすいように考えられているのだ。
突飛な解釈だが、このスーパーカブのシフトパターンって、つまりはRC213Vのようなレーシングパターンと同じなのである。後ペダルを踏むだけでなく、前ペダルをかき上げることでシフトダウンすることももちろん可能だから、そうなるとまさにレーシングパターンだ。
さらに言えば、サーキット走行時は教習所で習ったようにステップに土踏まずを置くのではなく、つま先を置いて積極的に荷重移動を行い、シフトチェンジのときだけ足を前にずらすのが基本なのだが、スーパーカブのロータリー式ペダルならそのままカカトを降ろしてシフトダウンすることだってできる。
これって、サーキットやワインディングを走るときにすごく便利ではないだろうか?
そう考えると、ホンダが擁するトップライダー&ドライバーが参加したスーパーカブ・レース で優勝したのがダニ・ペドロサ、2位がマルク・マルケス、3位が元GPライダーの青山博一だったことも納得がいく。やはりスーパーカブとRC213Vの操縦には近似性があったのだ!(そもそもこの3人は単純にバイクの運転が超絶にうまいだけ……なんて言いっこなしね)
スーパーカブって、実はものすごくレース向きだった?