Special Thanks:Kanae WATANABE/UD TRUCKS/E-GRAPHICS COMMUNICATIONS/
Photo:UD TRUCKS/ISO/MF編集部
ーーー以前はモデルをされていたということなんですが、そこからなぜ、トラックドライバーになろうと思ったのでしょうか?
モデルは、雑誌の読者モデルだったので。トラックドライバーになろうと思ったきっかけ……そうですね、実家が重機のリース屋さんをしていたので、小さい頃からトラックは身近な存在だったんです。なにかがあって、というわけではなく、とても自然にトラックに乗っていました。もともとクルマが好きでしたし。
18歳で免許を取得したんですが、取って2週間で父が「お前、乗ってみろ!」って。高校を卒業してバイトをしていたのですが、バイトがないときに「一緒に現場に行こう」となって、現場に行くときに「免許取ったんだったら、どんな運転するのか乗ってみなさい」と言われて日本橋の現場に行ったのが最初ですね。
ーーー日本橋!!! いきなり都内。
そうですね。そこから、トラックを運転するのが楽しいなって思うようになったんです。いまは免許制度が変わってしまったのですが、私のときは普通免許を取ってから2年後に大型が取れるときだったので、20歳で大型免許を取得することを目標にして普通免許で乗れる4トンのトラック(ダンプや平ボディ)をずっと乗っていました。運転は父が教えてくれました。父は運転の師匠ですね。
ーーーずっと乗っていると思うんですが、最長距離、1日ではどれくらいの距離を走るのですか? 1日1ヵ所、それとも往復がなんどもあったりするのでしょうか。
バラバラなんです。現場によって違いますし。茨城のときもあるし、神奈川のときもあるし。でも基本は1回現場でユンボ降ろして、とかなので。何キロくらいだろう……100キロいくか、いかないか、でしょうか。長距離で1ヵ所のときもありますし、短距離を何度も往復することもあります。大変なのは往復のほうですね。同じ場所を何度も走るのは飽きてしまうんで、道をちょっと変えたり、工夫しているんですよ。
ーーー何を運ぶことが多いのでしょうか。
いまは大型よりも準中型に乗っているのですが、足場とか残土とか、そういうものを運ぶことが多いですね。
ーーー女性でも積み降ろしはご自身でやられるのですか?
そうですね。基本は自分で最初から最後までやります。もちろん、手伝ってもらうことはありますが、現場に手伝ってくれる人がいなかったらアウトですからね。知恵を絞って、すべて自分でやる、という気持ちで動いています。もちろん手伝ってくれる人がいるときは甘えますよ。最終チェックは落ちつかないのでちゃんと自分でやりますが。そこで「男性には負けない、助けてくれるな!」とは思いません。
ーーー女性だったから、悔しかったことはありますか。運転中(道路上で)に嫌がらせを受けたことは?
悔しかったこと、ありますね~。以前、現場で自分が無知なことに対してお客さまからクレームがきたことがあったんです。その対応をしにいったときに、「わかっていない!」と怒られて。実際にきちんと答えられなかったので、悔しくて泣いたことがあります。
路上で嫌がらせをされたことはありませんよ。ああ、珍しいのか並走して覗き込まれたり、現場の男性って女性があまりいないので盛り上がるじゃないですか。だから「お、オンナじゃん!」とちゃかされたりすることはありますけど。並走されたら、もっと遅く走るし(笑)! あまりそこでイヤな思いをしたことはないです。
ーーーこの仕事をしていてうれしいことはどんなことでしょう。
そうですね、こうやってお仕事をさせていただけることでしょうか。私は、初めて乗ったトラックがUDさんの、日産ディーゼルさんのトラックだったので、UDさんのイベントでこうしてご一緒させていただけることは、すごくハッピーなことだなって思います。
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ーーーご自身で作業服のブランドをプロデュースされていますね。トラックドライバーになったときから作ろうと思っていたのですか? デザインもすべてご自身でやられているのでしょうか。
そうですね。もともと「オッサンくさいな~」って感じていたんですが、でも初めは反対にそこがよくて。でも、毎日オッサンくさいのを着ていて、そろそろなんかないのかな? って(笑)。25歳くらいのときに思い始めたんですよね。はい。デザインからすべて自分でやっています。
ーーー色使いも明るくて、かわいいです! 作業服だけじゃなくて普段使いのものもあって。
ありがとうございます。普段、原色のああいう色って着ないので。でも、ゴルフ行くと派手なものを着る現象と同じように、作業服ならでは、で着られるんですよね、ああいう華やかな色って。ユニフォームがある会社だと難しいかもしれませんが、自由な私なんかは着るチャンスがあるので。
視覚作用じゃないですけれど、見ている人にもハッピーになってもらえたらいいなって。女性ってアピールするのも大事かもしれないですし。
ーーーお仕事、楽しそうにされていますよね。
そうですね。楽しいです。クルマも好きですが、やっぱりトラックが好きなのかな。小さい頃から助手席に乗せてもらっていて、ずっと楽しいなって思ってきたので。
見える景色も違うし、なによりトラックのあの、跳ねるかんじですかね、ポンポンって。もうゆりかごみたいです!(UDさんのトラックの乗心地が素晴らしいことをアピール)
そんな渡辺さん、もちろんUDトラックスに乗っているのですが、今回発売された【新型クオン】にも、もちろんいち早く試乗をしています。以下は、今回のSUGOサーキットでの試乗会に先んじて富士スピードウェイで試乗されたときの彼女の感想だ(映像より抜粋・要約)
『第一印象は「凛々しくて力強い顔になったな、カッコよくなったな」って感じました。視界の広さもムダがなくて、窓も大きくて座ったときの安心感が違います。スイッチ類も押し易い位置にあって、このトラックなら運転に集中できますね。
エンジン音がとても静かになった印象です。走り始めはスムーズで重さを感じなかったので、走った後に試乗車に10トンも積んでいることを聞いて驚きました。とても軽かったので。
ブレーキは「あ、ちょっと深く踏んでしまったかな」と思ってもガクっとくるわけでなく、滑らかに、でもきちんと効いてくれます。補助ブレーキ(排気ブレーキ)が4段階ついているのですが、4段目に入れたときはシフトダウンがかかって、これがとても効くんです。手だけで運転できてしまうんじゃないかというくらい、負担なく乗れました。乗用車に乗っているような感覚でラクラクでした。(オートマなので)ギヤを1回1回変える必要がなく、渋滞も楽しくなっちゃいそうです。ギヤチェンジも全部クオンがしてくれるので、全部任せられますね。ずっとMTを乗っていたかたでも、一度乗ったら、もう戻れないかと思います。
今日初めて、富士スピードウェイのコースを走ったんですけど、急なアップダウンにカーブもきつかったりとアクティブなコースで、荷物が積んであるのに大丈夫かなって心配だったんですけど、クオンがギヤチェンジ、シフトアップ・シフトダウンをしてくれて、とても快適に乗ることができました。下り坂のコーナーでは、排気ブレーキ・エンジンブレーキをフルで、4段階のマックスで使ったんですが、しっかり効くので安心して曲がることができました。コーナーの立ち上がりもクオンがスムーズに加速してくれて、減速・加速もリズミカルに運転できましたね。すごく楽しかったです。
私は荷物を運んで走っていると、荷物が崩れないように走らなきゃとか、地図を見て現場までの道のりを考えたりと考えることがけっこうあるんですが、操作・運転に関しては全部クオンが自動でやってくれるので、本当に運転に集中できるとてもいいトラックです。女性や初心者のかたでもクオンならベテランドライバーのような安心・安全なドライブが実現できると思いますよ!』
と、印象を語り、クオンに関して「頼れる彼氏ですね!」と笑顔を見せる。試乗中の顔は真剣そのもの。初めて走るコースだと言いながらもスピードウェイをぐいぐい進む姿は、本当にかっこ良く、同性の私から見ても憧れてしまう姿でした。ちなみに、不肖ナコ、SUGOもトラックの運転も初体験。20トンの単車と牽引に乗せていただきましたが、あまりにビビって平均速度は15km/h。牽引試乗時には、10km/hでハンドルを切りすぎて「これ以上だとジャックナイフになってしまいますね~(かなりの苦笑)」と言われました。よって、ナコがカッコいいトラガールになる日は……ない。なれないかわりに、これからは渡辺さんのこと、トラガールの皆さんのことを応援します。
最後に、トラガールについて、そして国土交通省の促進するプロジェクトについて少しだけご説明。
『「男性の仕事」と思われがちなトラックドライバー。他産業に比べても、女性比率はまだまだとても低い状況です。そんな中、近年、少しずつではありますが、業界に華やぎを与える女性ドライバー(トラガール)が増えてきました。「トラガール促進プロジェクト」は、元気に活躍するトラガールを社会に広く発信することで、トラガールを目指す女性の道しるべとなるとともに、経営者や荷主に新しい視点を提供し、業界のイメージ改革を図るための取組です。』(HPから抜粋)
話を終えて、もっと女性のトラックドライバーが増えていってくれたらいいな、と思いながら、これからも女性トラックドライバーの皆さんの動向をチェックし、応援し続けていこうと思いました。