TEXT &PHOTO:牧野茂雄
豊田自動織機が開発したのは、リヤクォーターウィンドウとバックウィンドウ、さらにルーフスポイラーまで一体化された大型の樹脂グレージング(以下=PG)を使ったウィンドウである。厚みは5mm程度で素材はポロカーボネート。同じ面積をガラスで作る場合に比べて約40%の軽量化が可能だと言う。
最大のポイントはリヤワイパーを動かしたときの「引っかき」に対して樹脂窓表面の耐傷付き性が保証されている点だ。ワイパーブレードとPG表面との間に細かい砂粒が入った状態でワイパーを作動させると傷付きの原因になる。この問題を克服するため、特殊なハードコーティングが開発された。この点が最大のブレークスルーである。
もう一点は大型で複雑な局面を持ったPGを歪みなく成形する製造技術だ。豊田自動織機は過去にプリウスαのパノラマルーフやトヨタ86特別仕様の熱線デフォッガー入りバックウィンドウなどを製品化してきたが、そうした実績をベースに複雑な形状の再現性やスモークガラスを再現する着色技術など、製造技術面でのブレークスルーを行った。すでに技術面では市販可能だと言う。
今回の展示は、ボディ外板となる部分も樹脂部品で仕上げてある。このサイズのバックドア全体を鉄とガラスで作ると重量は40kgほどになるが、豊田自動織機の試作品は20kg程度に収まっている。リヤオーバーハングの重量軽減という点でも注目すべき技術である。