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夏本番!夏のイベントを控えている方もいらっしゃると思いますが、近年の夏の天候について、皆さんはどんな印象がありますか。
データから見ると、やはり「観測史上初」の高温や大雨は増えていて、気象をお伝えする上でも「異例の猛暑」、「災害級の大雨」などというキーワードを使うことが多くなりました。
気温に関して言うと、2025年7月30日、兵庫県丹波市柏原町(かいばらちょう)で最高気温41.2℃を記録し、国内最高気温の記録を7年ぶりに更新しましたが、それから1週間もたたずに8月5日には群馬県伊勢崎市で41.8℃と歴史的な暑さとなりました。「過去に経験のない暑さ」というのが、年を隔てる度に上乗せされているような状況です。
「ゲリラ豪雨」いわゆる「局地的大雨」については、1時間降水量が80ミリ以上の猛烈な雨や、3時間降水量150ミリ以上、日降水量300ミリ以上の強度の強い雨は、1980年頃と比較して、おおむね2倍程度に頻度が増加しています。
気温が高くなると、空気の中に雨雲の元になる水蒸気量をたくさん含むことができるという性質があります。地球温暖化の影響により、気温の上昇に歯止めが効かなくなっている状況ですが、それに伴って近年、大雨の発生頻度は増加しており、短時間の大雨の増加率が大きくなっているということが言えます。
夏休み中、暑さの厳しい日を知るためには、天気図から読み解くこともできます。
夏に勢力を広げる太平洋高気圧が、南から日本付近を覆う時は、基本的には良く晴れて厳しい暑さになります。特に、高気圧の張り出しが強いと、日本海や西日本のあたりに少しだけ先がとがったような形、まるでクジラの尾のように見える部分が現れます。
昔からこの天気図の形を「クジラの尾型高気圧」として、厳しい暑さになりやすいと警鐘を鳴らしてきました。
クジラの尾が見える時は、安定してよく晴れるため日差しが強烈であり、連日の晴れによって熱が蓄積され、より気温が上昇しやすくなると考えられています。
夏休み中も「クジラの尾」を発見したら、どれくらい気温が上昇するかデータで確かめて見るのも楽しいかもしれません。
また、猛暑になる気象条件に加え、近年は地球温暖化の影響もあってこれまで経験がなかったような記録的高温が出やすくなってきています。夏休みに地球のためにどんなことができるのか、家族間で話しをする時間を作ってみるのも良いでしょう。日常でどんなことができるのか考えて、小さなことから取り組んでいきたいですね。
続いては、局地的な大雨のサインについてです。今では「ゲリラ豪雨」といった方がピンとくる方も増えているのかもしれませんが、「ゲリラ豪雨」は気象用語ではなく、実際はある程度予測できたピンポイントで降る大雨のことを示しています。
その局地的大雨は発達した積乱雲によってもたらされるものです。積乱雲はどういう時に発生するのかというと、地上と上空の気温差が大きく、雨雲の元になる水蒸気がたくさんあるほど発生しやすくなります。
朝から強烈な日差しで気温が上昇している中、上空に寒気が流れ込む際はまさに空気中の対流活動が活発になり、「大気の状態が不安定」となります。また、太平洋高気圧の張り出しがやや弱まり、高気圧の縁を回って、南から暖かく湿った空気が流れ込む際も局地的に雨雲が発達しやすくなるでしょう。
夏に天気予報でよく聞くワード「大気の状態が不安定」というのは、積乱雲が発生しやすく、局地的に大雨や雷雨が起こりやすいサインでもあると覚えておいてください。
夏は山にキャンプへ行ったり、夏フェスや花火大会へ行ったりと、屋外レジャーを楽しむ方も多い季節です。
そんな中でできれば避けたい突然の大雨・・・。できるだけ早くに天気の変化を察知して、備えることで被害を最小限に抑えることができます。
急な大雨や雷雨というのは、空の変化からも読み取ることができます。
ポイントは3つあり、
1.「急に真っ黒な雲が近づいてきた」
2.「雷の鳴る音が聞こえてきた」
3.「急に冷たい風が吹いてきた」
こういった前兆がある際には、発達した積乱雲が近づいている証拠です。
屋外で過ごす際には、最悪の場合を想定し、あらかじめ避難場所を決めておきましょう。また、局地的な大雨が予想される際には、空の様子に注意し、雨雲レーダーをこまめに確認しながら行動するようにしてください。いざという時には、早めに頑丈な建物に移動しましょう。
そして、夏休みシーズンに気を付けなければいけないのが台風です。
台風は1年間の発生数の平年値は25.1個で、月別でみると、8月が最も多く5.7個、次に9月が5.0個となっています。接近数は8月、9月はともに3.3個、上陸数は8月が0.9個、9月は1.0個で、夏休みの頃は、いつ台風が接近、上陸してもおかしくない注意が必要な時期です。
台風情報を確認する際は、まず台風中心から見て自分が過ごす場所はどの位置にあるのかを確認してみましょう。
台風は時計と反対回りに回転する巨大で発達した雲の塊です。台風中心より右側は、台風本体の反時計周りの風に台風の移動速度が加わるため、一層風が強まります。このような場合は、一層の警戒が必要ということを念頭においておくと良いでしょう。
昔から台風の右側が「危険半円」、台風の左側が「可航半円」という船乗りの言葉があります。ただ、左側は安全というわけではなく、左側でも災害級の暴風や大雨となることはあるため、台風それぞれの特徴を知ることが大切です。
天気予報を活用して、ぜひ安全で楽しい夏休みをお過ごしください。