日本の6月から7月といえば、梅雨の季節です。この時期、連日の雨や高い湿度に悩まされる人も多いでしょう。
一方、筆者が住むフランスには「梅雨」という季節はありません。
では、日本の梅雨にあたるこの時期、フランスはどのような気候なのでしょうか?また、日本の梅雨と比べて、フランスの雨の降り方はどのように違うのでしょうか?

この記事では、フランスの梅雨どきの気候や雨の降り方の特徴を紹介します。
ちょっと驚く、フランス人の雨対策についてもお伝えしますよ。


フランスの6月~7月の気候

広いフランスでは、地域によって気候は大きく異なりますが、一般的には6月から7月にかけては比較的穏やかで暖かい気候が広がります。

パリではこの時期になると晴れる日が多くなり、6月で54%、7月で61%の確率で晴れ(快晴、ほぼ晴れ、または一部曇り)ます。[※1]
パリの月平均気温平年値は6月が18.2℃、7月が20.4℃と、東京の平均値(6月=21.9℃、7月=25.7℃)よりも低く、7月でもうだるような暑さになることはほとんどありません。[※2]
湿度も日本に比べて低いので、むしろ涼しいと感じる日もあります。
日中は暑く感じる日であっても、夕方には涼しい風が吹くので、街歩きやカフェでのんびり過ごすのにも絶好の季節です。

一方、南フランスのプロヴァンス地方や地中海沿岸地域は、フランスの中でも特に晴れる日が多い場所です。
ニースを例に挙げると、晴れる日の確率は6月で68%、7月は1年のうちで最も高く81%です。[※1]
月平均気温平年値は6月で21.6℃、7月は24.2℃と、パリよりも少し高くなります。[※2]


<出典>
[※1]Weather Spark
https://ja.weatherspark.com/y/47913/パリ
https://ja.weatherspark.com/y/55196/ニース
[※2]気象庁
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/monitor/climatview/frame.php


フランスで雨の多い時期はいつ?

フランスにおいて、日本の梅雨時期にあたる6月から7月にかけては、全国的に雨が少なくカラッとした、過ごしやすい時期と言えます。

パリなど、西岸海洋性気候の地域では、年間を通じて比較的均一に雨が降ります。ただし、6月頃から夏にかけては晴れる日が多くなり、秋から冬にかけて雨が降る日が多くなります。
一方、南フランスのニースなど、地中海性気候の地域では、年間を通して雨が降る日は少なく、中でも夏は特に晴れる日が多くなります。

また、ヨーロッパ全体で見ても、雨の多い時期は地域によりますが、一般的にフランスと同様、夏は少なく、秋から冬にかけて多くなるそうです。

例えば、イギリスなどの北西ヨーロッパでは、一年を通じて雨が降りますが、秋から冬にかけて降水量が増えます。小雨や霧雨が長時間にわたって降ることが多く、突然のにわか雨もよく見られるそうです。
一方、イタリアやスペインなどの地中海沿岸地域では、冬に集中して雨が降る傾向があるそうです。


日本とフランスの6月〜7月の雨の降り方のちがい

日本では、梅雨の時期にまとまった降雨が続き、湿度が高いために蒸し暑く、ジメジメした日が続きますね。
東京を例にあげると、1991年〜2020年のデータから算出した月平均降水量平年値は、6月が167.8mm、7月は156.2mmです。また、降雨日数(日降水量 1.0mm 以上の日数)は6月が11.6日、7月は10.5日です。[※3]

一方、フランスの初夏の雨の降り方は異なります。
フランスでは、大雨が長時間にわたって降り続く、ということは少なく、小雨や霧雨が降ったり止んだりを繰り返すことが多いです。
本格的な雨や激しい雷雨が一時的に降ることもありますが、非常に稀です。

雨が降る頻度も日本に比べて少ないため、日本の梅雨のように連日雨が続くことはあまりありません。

例えばパリを例に挙げると、年間を通して降水量や頻度は大きくは変わりませんが、月平均降水量平年値は6月で58.4mm、7月で53.1mm程度です。[※2]
また、降雨日数は6月が7.6日、7月は7日程度です。[※1]
東京と比べると、雨の降る量が大きく違いますね。

フランスでも特に雨が少ない地中海性気候の地域はどうでしょうか。
ニースを例に挙げると、月平均降水量平年値は6月で35.8mm、7月で13.6mmです。[※2]
また、降雨日数は6月が4.1日、7月が2.4日程度です。[※1]
極端に雨が少なく驚いてしまうほどです。

<出典>
[※3]気象庁
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=44&block_no=47662&year=&month=&day=&view=a1


フランス人は傘をささない?

フランスで生活を初めて驚いたことの一つが、フランス人があまり傘を差さないことです。
というもの、大雨が降ることは少なく、小雨や霧雨が断続的に降ることが多いため、傘を持っていなくてもそれほど濡れない、というのが大前提にあります。

ただ、そうはいっても降るときは降ります。
そんな時は、上着やパーカーに付いたフードで凌ぐのが一般的です。
日本の子供達が雨の日に使うようなカッパはフランスでは見かけません。その代わりに、天気に関わらず使用できる防水タイプの上着が必須アイテムです。
秋冬用に、表面はツルツルした防水加工、裏面はモコモコしたフリース加工で、暖かく雨も凌げるコートも販売されていますよ。

また、フランス人のあまり気にしない性格も理由の一つです。
フランスはとても乾燥した気候なので、雨で濡れてしまってもすぐに乾く、という意識もあるのでしょう。突然の雨にも、小走りで雨から逃れる、というよりは、濡れながらも気にせずゆっくりと歩く人が多いです。

ちなみにフランスでは学校でも外履きの靴のまま過ごしますが、長靴を使う子は子供であっても少数派です。
ベタベタに濡れた服とスニーカーで登校する子供をみかけると、その後1日どう過ごすのか、お節介ですが気になるところですね。

フランス人にとって待ち遠しいこの季節。
フランスの初夏は、日本の蒸し暑い梅雨どきとは打って変わって晴れる日が多く、快適で過ごしやすい気候です。
日照時間も長くなり、21時を過ぎてもまだ明るいので、観光やアウトドア活動を十分に楽しむことができますよ。

ジメジメした梅雨どき、フランスなど梅雨がない場所への旅行、おすすめです!

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 フランスの「梅雨どき」に傘は不要?日本と違う初夏のヨーロッパ