夜が長くなり、冷たい露が草木に降りる「寒露(かんろ)」の頃。朝晩の気温は下がり、空気がひんやりと感じる日も増えてきます。日中は爽やかな秋晴れを、夜は美しく輝く月の姿を楽しみたい時期です。
今回は、「三秋(さんしゅう)」の2つの意味と寒露の「七十二候」についてご紹介します。


冷たい露は霜へと変わり、深まる秋

「二十四節気」は、天球上の太陽の通り道(黄道)を15度ずつ24等分して設けられた季節を知るための暦です。0度の春分を起点にした「太陽黄経」と呼ばれる角度は、夏至(90度)、秋分(180度)、冬至(270度)を経て一周すると、一年間の四季が巡るのです。

天文学上の「寒露」は、太陽黄経が195度になる時。冷たい露が草木に降りる頃をあらわしています。寒露の後の節気は「霜降(そうこう)」。さらに気温が下がり、露が霜へと変わります。この2つの節気が「晩秋」にあたります。次に巡るのは「立冬」となり、季節はいよいよ冬へと移り変わります。


2つの意味がある?二十四節気と旧暦、それぞれの「三秋」

「三秋」とは、「初秋」「仲秋」「晩秋」のこと。二十四節気の秋は立秋から霜降までの時期で、「初秋」は立秋・処暑、「仲秋」は白露・秋分、「晩秋」は寒露・霜降となります。一方、旧暦(太陰太陽暦)では、「初秋」が7月、「仲秋」が8月、「晩秋」が9月にあたります。旧暦では、この3か月が秋とされていました。

俳句の季語や「暦の上」の季節は、二十四節気に基づきます。一方、旧暦の日付を踏襲した行事は現在の私たちの生活にも根付いており、そのひとつに「中秋の名月」があります。旧暦8月15日の夜の月を意味する「中秋の名月」は、2023年は9月29日でした。

太陽と月、どちらの運行も私たちの生活に昔ながらの伝統や季節感を伝えてくれていることに気付かされます。


北から雁が飛来、菊の花が咲き、虫の音が響く頃

二十四節気を約5日ごとの3つの期間(初候・次候・末候)に分けた「七十二侯」。晩秋の時期の動植物は、どのように変化していくのでしょうか。今回は、寒露の間の自然の移り変わりを味わいましょう。


【寒露の期間の七十二候】
◆初候(10月8日~10月12日)
「鴻雁来(こうがんきたる)」
夏鳥の燕が南へ去った後、冬鳥の雁が北から渡ってくる頃。日本で冬を過ごした雁は、春になるとシベリアの方へ帰っていきます。その年に初めて訪れる雁を「初雁(はつかり)」と呼びます。

◆次候(10月13日~10月18日)
「菊花開(きくのはなひらく)」
菊の花が咲く頃。菊には不老長寿の薬効があるとされ、旧暦9月9日(2023年は10月23日)の重陽の節句に菊の花びらを浮かべた菊酒を飲む風習がありました。「菊晴れ」とは、この時期に空が晴れ渡ること。

◆末候(10月19日~10月23日)
「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」
秋の虫が戸口で鳴き始める頃。平安時代は、コオロギをキリギリスと呼んでいました。コオロギは秋の虫の総称でもありました。

※日付は2023年の場合



・参考サイト
国立天文台「暦Wiki 七十二候」

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 10月8日は二十四節気の「寒露」。冷たい露が降り、空気が澄む頃