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火星の明るさは、地球との位置関係(距離)によって大きく変化します。現在は、約2年2か月振りとなる最接近に向けて輝きが増している時期。10月初旬にマイナス0.5等前後だった明るさは、下旬にはマイナス1.2等になり、ひときわ目をひく赤い輝きを放っています。
2022年12月1日の地球最接近の頃にはマイナス1.9等級に達し、オリオン座やおおいぬ座といった冬を代表する星座と供に真夜中の東の空で輝きます。火星と、冬の一等星アルデバランとベテルギウス。3つの赤い星の共演にも注目してみましょう。
晩秋から初冬にかけては、火星に加えて木星と土星も美しい時。3惑星を観測する好機となります。
火星、木星、土星など、太陽系で地球よりも外側を公転する惑星を「外惑星」と呼びます。地球から見て、外惑星が太陽の反対側に位置する時を「衝(しょう)」、太陽と同じ方向に位置する時を「合(ごう)」といいます。
外惑星の公転周期は地球よりも長いため、地球が太陽の周りを1周する間に外惑星に追いつき、「衝」の時に追い抜く現象がおこります。この時、西から東への「順行」から、反対方向の東から西へ動くように見えます。これが外惑星の「逆行」です。
「留(りゅう)」とは、順行と逆行の向きが入れ替わる瞬間をあらわし、「留」の頃には星空の中で惑星の動きが止まっているように見えます。今シーズンの火星は、10月30日に「留」を迎えます。
火星は天球上を西から東へと順行しながら、2022年8月上旬に「おひつじ座」から「おうし座」の領域へと移動しました。10月30日の「留」の後は東から西へと逆行に転じ、逆行期間中の12月1日に地球最接近となり、8日に「衝」を迎えます。
その後は、2023年1月13日に再び「留」となり、逆行から順行へと変わります。3月下旬には、7か月半に渡って滞在した「おうし座」を去り、「ふたご座」の領域へと移動します。
火星が順行から逆行、再び順行へと変化して見えるのは、地球と火星が共に太陽の周りを公転している証といえます。「惑う」ような動きで星座を巡る「惑星」。太陽系の惑星の壮大な動きをイメージしながら、火星の運行を観察してみてはいかがでしょうか。
参考サイト
アストロアーツ「火星」
国立天文台「ほしぞら情報2022」