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洗濯物を部屋干しするとカビが生えやすくなるのは、室内の温度と湿度が関係しています。カビ(真菌)はもともと自然界に存在するもので、室内の空気1立方メートル中には、常に数個~数千個ものカビの胞子が浮遊しています。カビの胞子は天井や壁、床、家財など至る所に付着し、表面にある栄養素や水分を利用して発育していきます。カビは気温が5~35℃あれば発育するといわれていますが、特に高温多湿の環境下を好む傾向にあるため、ムシムシ・じめじめした環境ではカビが生えやすくなります。
冬場は他の時期に比べると気温・湿度ともに下がる傾向にあるため、本来であればカビが生えにくい季節なのですが、部屋干しすると洗濯物の水分によって室内の湿度が上昇します。さらに、冷え対策として暖房を使用すると高温多湿の環境になり、室内や家財にカビが発生しやすくなります。もともと高温多湿になりやすい夏場とは異なり、冬場は低温かつ乾燥しやすい季節なので、湿気対策を怠りがちになるのもカビが生える原因のひとつといわれています。
濡れた洗濯物を室内に干すとカビが生えやすくなりますが、きちんと対策を行えば、カビを発生させずに部屋干しすることも可能です。気温があまり上がらない冬場は部屋干しする割合が高くなりますので、洗濯方法を工夫してカビを発生させないための対策を行いましょう。ここでは、部屋干しでカビを発生させないための洗濯のコツを4つご紹介します。
■1.除菌・抗菌効果のある洗剤を使う
洗濯用洗剤の中には、カビの原因となる雑菌に対する除菌・抗菌効果が備わっているものもあります。洗濯物そのものに雑菌が付着していると、乾かす過程で空気中にカビ菌が舞い上がる原因となりますので、除菌・抗菌効果の高い洗剤を使ってしっかり雑菌対策しておきましょう。
■2.洗剤の使用量を守る
洗濯用洗剤は、多く入れれば入れるほど洗濯物がきれいになるというわけではありません。むしろ過剰に使用すると、余分な洗剤や洗濯槽や洗濯物に付着してしまい、雑菌のエサになってしまう場合があります。洗剤の使用量は基本的に洗濯物の量(重さ)によって決まりますので、家庭で使っている洗濯機の取り扱い説明書などを確認し、洗濯物の量と、それに対応する洗剤量の目安をあらかじめチェックしておきましょう。
■3.汚れがひどい場合は下処理をする
皮脂や食べこぼしなどの汚れがひどい場合、洗濯機を1度回しただけでは汚れを落としきれない可能性があります。汚れはカビ菌が繁殖するためのエサになりますので、頑固な汚れがある洗濯物は、あらかじめ液体洗剤やスプレータイプの洗剤を直接汚れになじませ、軽くもみ洗いしてから洗濯しましょう。
■4.洗濯が終わったらすぐに干す
脱水が終わったにもかかわらず、長時間洗濯物を取り出さずにいると、洗濯機内の湿度が上がって雑菌が繁殖する原因となります。洗濯が終わったらすぐに洗濯物を取り出して干すことを心がけましょう。なお、洗濯が終わった後の洗濯機内は湿気が残っているので、しばらくフタを開けたままにして乾燥させておくのがおすすめです。
部屋干しによるカビの発生を防ぎたいのなら、洗濯の仕方だけでなく、干し方にもちょっとしたコツを採り入れるのがポイントです。ここでは、部屋干しによるカビの発生を防ぐために実践したい干し方のポイントを3つご紹介します。
■1.洗濯物同士の間隔をあけて干す
洗濯物同士が重なるように干すと、風の通り道がふさがれて乾くまでに時間がかかってしまいます。洗濯物の間に十分な風が通るよう、なるべく間隔をあけて干すのがポイントです。
■2.扇風機・サーキュレーターを活用する
室内は空気が停滞しやすいので、扇風機やサーキュレーターを使って人工的に送風すると、洗濯物が乾きやすくなります。エアコンや暖房器具を使う場合は、扇風機やサーキュレーターを対角線上に置き、やや上方向に向けて送風すると室内全体に空気がめぐりやすくなります。
■3.なるべく部屋の中央に干す
壁際や窓際は空気の流れが悪いので、洗濯物はなるべく部屋の中央に干すのが理想です。特に窓際は結露ができやすく、最もカビが生えやすい場所のひとつですので、カーテンレールに洗濯物を干すのは控えましょう。部屋のスペース上、どうしても中央付近に干すのは難しいという場合は、換気扇を回した浴室に干すのがおすすめです。
濡れた洗濯物を室内に干すと、部屋の湿度が上がってカビが生えやすい状態になり、建材や家具の黒ずみにつながってしまいます。また、カビがアレルゲンとなり、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎発症を引き起こす恐れもあります。[注1]そのため、部屋干しするときは洗濯や干し方を工夫し、しっかりカビ対策しましょう。また、冬でも陽が差して気温が上がる日は外干しした方が早く乾くこともありますので、その日の天気や気温に合った最適な方法で洗濯することも大切です。
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[注1]厚生労働省:科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂新版)[pdf]