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室町時代にお風呂を使う時に衣服を包んだり、脱ぎ着のために敷いた布が「ふろしき」の名前の由来。漢字で書く「風呂敷」が使い方とともに現代にまで残っているのは便利だったからでしょう、嬉しいことです。
この名前が定着したのが江戸時代ということで、『江戸名所図会』を眺めてみると大きな風呂敷包みを背負った人々が行き交い、この時代荷物の大小にかかわらず物を運ぶためになくてはならない実用の必需品だったことがわかります。
一方、普段使いの対極にあるのが晴れの場での風呂敷の役割です。今でもあらたまった場で品物を差し上げるとなると、やはり風呂敷に包みたくなりませんか。恭しく開く仕草が美しければ差し上げる真心もきちんと相手に伝わります。おめでたい時のお祝いならば、熨斗をかけた包みを古典的な吉祥柄が染められた絹の風呂敷で包んではいかがでしょう。格調高くお祝いの気持ちを表すことができますね。
実用的な木綿やポリエステルといった丈夫で洗濯がきく素材は普段使いに最適です。儀礼的な場合は絹の無地がいいですね。お祝いごとであれば、絹素材で華やかな色使いと柄を選べば上品な印象に。実用と晴れ、使い分ければ「ふろしき」で生活を豊かに演出できるのは嬉しいことです。
ペットボトルも大判のハンカチで包み、持ち手をつけてバッグに入れておけば、取り出す時も楽々、水滴がついても大丈夫です。
丸い西瓜やメロンも! ふろしきの角同士を結んだ一方をもう一方に通すと手提げになります。
細長い箱は結び目を二つにしてゆったりと結びましょう。華やぎがでます。
大切なのは包む物との対話。どうしたら中身を大切に持ち運ぶことができるか、美しく見せられるかが考えられてさまざまな結び方が生まれたのだと思い至りました。
実際に包んでみると平面のふろしきに丸いものや曲線のものを形良くきれいに結ぶのはなかなかテクニックがいることだとわかります。くり返し試すうちに気づいたのは、着物を着る時なにげなく襞をとったりダーツを作ったりするやり方と同じだということです。平面に仕立てた着物を身体の曲線に沿わせる着付けのわざこそ、ふろしき包みに活かされているのだなと感じたしだいです。
ふろしきを使う文化をもっと日常に取り入れられたら…エコな生活を考えるとこのような思いが湧いてきます。正方形の一枚の布はかさばらずにどこへでも持って行けるし、なによりどんな形でも自在に包めるのがメリットです。ちょっとしたテクニックにぜひ挑戦してみて下さい。誰にでもできる環境に優しい習慣になること間違いなしです。
参考:
『ここからはじめよう! ふろしき包み』一般社団法人日本風呂敷文化協会発行
環境に対する意識が高い欧米でも、ふろしきはすでに注目されています。
ギフト商品のラッピングに使われていたのがふんわりとした結び目をほどこしたカラフルなふろしき。ハンドメイドコスメでお馴染みのLUSHの通販サイトで見つけて驚きました。包んで結ぶ「Knot Wrap(風呂敷)」はラッピング以外にもアクセサリーにしても良し、何度でも使えるリユースを謳っています。ラッピングといえば今まではプレゼントへの期待の心で勢いよくビリビリ破って捨てられてしまうもの、という意識からの大きな転換ではないでしょうか。いいところに目を付けてきたな、と思いませんか?
昔からあったものに対して私たちはどうしても伝統の先入観を持ってしまいがちですが、思いきって新しい目で「ふろしき」を眺めてみれば、素材やデザイン、色が自由に選べ何よりもエコと美しさを兼ね備えた万能の布、となるのではないでしょうか。包むも良し、身に纏うも良し、インテリアとして使うも良し、ふろしきの持つ可能性をあなたの感性で広げてみるのも楽しいではありませんか。
エコバッグの予備として先ずふろしきを一枚バッグに追加してみませんか?