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そこで今日は自然薯の日にちなんで、自然薯に関するちょっと自慢できる基礎知識や栄養価、そして自然薯を使った鹿児島の和菓子「軽羹(かるかん)」をご紹介していきます。
山芋やジネンジョウ(自然生)と呼ばれることもある自然薯の正式名称はヤマノイモ(山の芋)です。その名前のとおり山で採ることができる芋で、北海道から沖縄まで広く分布しています。高山ではなく、里山のように私たちに身近な場所に自生しています。
この自然薯は日本原産の希少な植物で、縄文時代から食べられていたとされています。歴史としてはお米よりも古く、さらには「平家物語」や「東海道中膝栗毛」にも登場し、私たち日本人に関わり深い食材のひとつになります。
ただし畑での栽培は無理だとされており、日本の高度経済成長以降は畑で収穫できる長芋などにその地位を奪われた形になりましたが、最近では大規模に生産している農家も増えてきました。その結果、旬になるとスーパーなどに自然薯が並ぶようになりました。
そんな自然薯の旬は11月です。もしかしたらもう近所のスーパーで手に取られている方もいるかもしれません。まだの方は、お買い物に行くときに野菜コーナーでチェックしてみましょう。また、9月下旬からは蔓に実るムカゴを収穫できます。ムカゴは食べることもできますし、種芋と同じように自然薯の栽培にも使えます。
【参考】
自然薯(じねんじょ) | JA遠州中央
自然薯は漢方薬として使われることもあり、滋養強壮や解熱作用、消化促進などの効果があるとされています。具体的にどのような栄養価が含まれているのか見ていきましょう。
【自然薯100gあたりに含まれる栄養価】
カロリー:121kcal
炭水化物:26.7g
タンパク質:2.8g
脂質:0.7g
食物繊維:2g
ビタミンE:4.1mg
カリウム:550mg
自然薯は芋ですので炭水化物がやや多めで、食物繊維が2gも含まれています。注目すべきポイントはビタミンEとカリウムが豊富だという点です。ビタミンEには抗酸化作用や、自律神経を安定化させる効果があるとされています。
成人男性は1日に6.5mg、成人女性は1日に6mgのビタミンEの摂取が目安とされていますが、自然薯は200gで1日に必要なビタミンEを補えてしまいます。
カリウムは細胞の浸透圧を維持したり、水分を保持したりする機能があり、健康維持に欠かせない栄養素のひとつなのですが、自然薯100gにはカリウムが550mgも含まれています。
このように自然薯には多くの栄養素が含まれており、さらには生殖能力を強めるアルギニンやDHEAを増やすディオスゲニンも含まれているため、食事に取り入れることで元気になるといった効果も期待できそうです。
【参考】
食品成分データベース
ビタミンEの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
カリウムの働きと1日の摂取量|健康長寿ネット
鹿児島に出張や旅行で行ったとき、空港やお土産屋さんで見かける軽羹には原料として自然薯が使われています。鹿児島の土壌は火山灰が降り積もってできており、その環境が自然薯を育てるのに適しており、良質な自然薯が採れることから軽羹の原料となっています。
軽羹は幕末に薩摩藩主の島津斉彬公が江戸から菓子職人を連れ帰り、藩の御用菓子を考えるように命じたことが始まりとされています。その菓子職人が目をつけたのが、良質な自然薯とお米、そして奄美大島などで採れる砂糖で、これらを原料に蒸し菓子の軽羹を作りました。
ちなみにその菓子職人の流れを汲むのが、160年以上の歴史がある明石屋菓子店で、現在でも上質な軽羹を作り続けています。他にもいくつかのメーカーで販売されていますので、鹿児島に行く機会があれば、ぜひいろいろな軽羹を食べ比べてみましょう。
ちなみに軽羹は基本グルテンフリーで、小麦粉を食べられない人でも美味しくいただけるお菓子です。東京や大阪などの都市部では、百貨店や物産館などで販売していますので、手土産に活用してみてはいかがでしょう。
【参考】
薩摩菓子 軽羹|本場の本物