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あの『君の名は。』から3年。新海誠監督が新作映画に選んだテーマは「天気」でした。家出して東京へやってきた高校生・森嶋帆高(もりしまほだか)と、祈るだけで空を晴れにできる不思議な力を持った少女・天野陽菜(あまのひな)。天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄されながらも自分たちの生き方を選択しようとする少年少女の姿を描きます。前作に引き続きRADWIMPSが音楽を担当することもあり、製作発表されたときからさまざまなニュースメディアで採り上げられてきました。
この「お天気」と深く関わっているのが日本気象協会。そんなつながりから、声を務めた2人──森嶋帆高役の醍醐虎汰朗(だいごこたろう)さん、天野陽菜役の森七菜(もりなな)さん──の日本気象協会訪問が実現したのです。実際の気象情報を発信している現場も体験してもらい、どんな感想を持ったかを聞いてみたい……と案内役として待ち受けたのは、気象予報士でテレビの気象キャスターも務めている奈良岡希実子(ならおかきみこ)さん。お天気のプロと新進気鋭の若手俳優がどんなコラボレーションを見せてくれるのか、とても楽しみです。
東京・池袋のサンシャイン60にある日本気象協会のエントランスから、スタートしました。
奈良岡さんが醍醐さん・森さんをまず案内したのが予測・解説部門が在席する広いフロア。ここは24時間体制で動いていて、平日の日中は約30人の気象予報士が天候の予測や解説業務を行っています。夜通し眠らない体制に感動した2人の視線は、やがてフロアの窓際に吸い寄せられました。
「うわぁ、すごい眺め」「あ、あれは新宿の空!」と歓声を上げます。それもそのはず、ここはビルの54階。東京全体が見渡せるのです。新宿の空に目を留めたのは、映画で新宿上空の景色がとても印象的に描かれているから。まるで映画のワンシーンのような光景が窓の向こうに広がっていたのでした。
「じゃあそろそろこちらへ」と奈良岡さんは2人をとあるデスクへ案内します。そこは、日本気象協会が運営する天気予報専門メディア「tenki.jp」で、気象予報士が日々の気象情報の解説をお届けする人気コンテンツ『日直予報士』を発信している現場でした。日直予報士はtenki.jpのTwitterアカウントでも日々ツイートされています。
「フォロワーって何人くらい?」という森さんに「280万人」と奈良岡さん。「では、今から記事の配信ツイートをやってみますか?」と振られた森さんは、「280万人にですか……」とやや不安そうです。それでも、「明日天気になーれ」とかわいく言いながら送信ボタンをポチッとクリック。280万人のフォロワーさんは、その配信記事の「中の人」が森七菜さんだったことは知るよしもない、でしょうね。
森さんが送信したツイートがこちら
さて、予測・解説部門での「中の人」体験はもうひとつ。
「これ、何に見えますか」と奈良岡さん。「よく見るやつですね」と醍醐さん。
そう、新聞に掲載する天気図を制作しているところです。「ちょっと修正してみてください」という声に、醍醐さんは不安そうに「低気圧」の文字や前線記号を動かしてみます。「上手ですね」と褒められると「新聞に載るんですよね」とまんざらでもなさそうでした。
手作業だった天気図制作も今は9割がた自動処理で出力されます。それでも最後は人間の手で微調整する必要があると聞き、森さんも感慨深げでした。
次に見学したのは、あるモニター。「あ、電車で見たことあります」と2人が反応します。そう、首都圏のJR車両のドア上モニターに流れる『トレインチャンネル』です。
山手線、中央線、南武線など走るエリアに対応して天気予報の地点情報が違っていること、途中で流れてくる電車のアニメの車両数やパンタグラフの形状も実際の走行車両に合わせていると聞き、「凝ってますね〜」と醍醐さん。
予測・解説部門の広いフロアには、他にもさまざまな役割を受け持つ部署が。ふだん何気なく見聴きしている天気予報や気象情報は、こうやって作られ発信されていることを知ってもらえました。
でもこれはまだ序の口。これから行く場所にはさらに天気予報といえば…のお馴染みのシステムがあるんです。またこの連載でレポートしますね。