厳しい寒さが続いていますが、長野県にある諏訪湖では、厳しい寒さを迎える冬ならではの不思議な自然現象が起こっています! それは「御神渡り(おみわたり)」と呼ばれる現象です。

なんと、諏訪湖上に氷の道が浮かび上がってくるというのだから、それは驚きの景観です。ある気象条件が揃わなければなかなかお目にかかれない景観なのですが、この御神渡りは神事として執り行われる行事にもなっているのです。御神渡りとは、一体どのようなものなのでしょう?

神秘的な現象「御神渡り」


湖上に浮かび上がる「氷の道」

長野県諏訪盆地の真ん中に位置する諏訪湖。湖周15.9kmもの広さを誇る諏訪湖は、ご存じのとおり信州一の大きな湖として、地元の方や観光客から人気のスポットです。

そんな諏訪湖ですが、毎年この時季は全面結氷します。その氷の厚さは10cm以上になるといわれ、氷点下10℃くらいの日が数日続くと、湖面の氷がまるで山のように盛り上がるというから驚きです。

実はこの現象、「御神渡り(おみわたり)」と呼ばれています。ある気象条件が揃わなければなかなかお目にかかれない貴重な現象なのですが、高さは50cmから1mほどにもおよぶというから、かなりの迫力ですね。

信州一の大きさを誇る諏訪湖


ロマンチックな御神渡りの伝説

御神渡りによってできた氷の道は湖岸から湖岸まで、数kmにもわたります。実はこの道には「恋の道」という伝説が言い伝えられているのです。

諏訪大社は、諏訪湖を挟むようにして南に「上社」、北に「下社」を構えています。上社には男神、下社には女神がいたとのことで、男神が女神に会いに行くための道だったとされています。なんともロマンチックな言い伝えですね。

神様が通る道ですから、御神渡りはとても神聖な道であることから、今でも神官が御神渡りであるかどうかを確認する拝観式が執り行われています。

男神がいるといわれる諏訪大社上社


様変わりする、近年の御神渡り

最近では温暖化の影響もあり、御神渡りが出現する回数が減っているのだとか。神秘的な景観だけに、とても残念なことです。

しかし昨年は、5年ぶりに御神渡りが出現しました。御神渡りが起きない年は「明けの海」と呼びます。かつては、湖面の割れ目の状態によって、農作物が豊作かどうかを占ったという言い伝えもあります。

毎年、御神渡りの神事と判定は諏訪市にある八剣神社の宮司が担当していますが、今年も御神渡りが現れるようにと、各関係者が祈っていることでしょう。

そんな中、1月20日付けの「Nagano Nippo Web」では、次のような記事が紹介されています。

── 1年で最も寒さが厳しいとされる「大寒」を前に、御神渡りの判定と神事をつかさどる八剱神社(諏訪市小和田)は19日朝、諏訪湖の結氷状況を確認した。(中略)今季の最低気温は10日の氷点下9・5度。同河口岸辺付近の氷の厚みも5ミリ~1センチ程度にとどまっている。(中略)御神渡りの監視は、春が始まるとされる「立春」を目途に続けていく。──

今季は全体的に暖かい気象状況が続いていますが、寒い日だからこそ見られる諏訪湖の御神渡り。ぜひとも、立春までの冷え込みに期待し、幻想的な世界に遭遇してみたいものですね。

情報提供元: tenki.jpサプリ
記事名:「 冬の諏訪湖で起きる神秘「御神渡り(おみわたり)」