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木々が葉を落としていくなかで、山茶花は冬を告げる花として七十二候で取り上げられています。立冬の初候は「山茶花始開(つばきはじめてひらく)」です。「山茶花」は辞書によるとツバキの漢名で山茶に由来する「さんさか」が変化した言葉ということです。ですから暦では「つばき」と読ませているのですしょう。
鮮やかな花の色は美しく、道に沿って植えられているのを見るのは目にも嬉しいものです。山茶花はツバキに似ていてこれはツバキかしら山茶花かしらと悩むことが多いですね。見分け方としてツバキの花は形がロート状で厚みがありますが、さざんかは厚みがなく平面的で、散る時ツバキは花がそのままポトリと落ちますが、さざんかは花びらが一枚つづ散っていくということです。その他に葉の形や葉脈で違いがあるということですが、最近は品種も多くプロの方でも間違えることがあると先日植木屋さんが笑って話してくれました。
枯葉が舞う寂しさのなかで艶のある緑の葉に、鮮やかな花が赤く白く咲くようすは季節に明るいいろどりを与えてくれています。
こがらし、木枯らし、つぶやくだけで寒さを感じてしまいますが、「凩」の字をごぞんじですか? これも「凩(こがらし)」とよみますが、見ただけで何となく意味を感じることができますよね。風の中に木を入れると、木を枯らしてしまう風の意味がダイレクトに伝わってきます。このように二つ以上の文字の意味を組み合わせて作った字を会意文字といいます。ふだん使っている字にも会意文字があります。「日」と「月」を合わせた「明」、また「休」は「人」が「木」の下でゆっくりしているようすを表した会意文字です。「ああ、なるほど」と頷かれたことでしょう。「なかなか上手いなぁ」なんて考えていると身にしみる木枯らしも明るくやり過ごせるかもしれませんよ。
「凩や鞄の中に楽譜あり」 林徹
つい下を向いて歩いてしまう季節、心に楽しさをもっていれば頭をあげて歩いて行けそうですね。
「のどか」や「うららか」は春を表すことばですが、秋にも使いたくなりませんか? そうですよね、心地よいあたたかさに身体がゆるむ陽ざしには「まるで春みたい!」と叫びたくなりますね。それが「小春」冬の初めの春のようなあたたかい気候のことです。この気持ちよさからたくさんの「小春」があります。春を思わせる風は「小春風」、穏やかに晴れた空は「小春空」、海ならば「小春凪」、そしてもっとも私たちが口にするのが「小春日」や「小春日和」です。
やがて来る冬を思うと、その前に恵まれる陽だまりはひどく愛おしいものに思えます。お日さまを浴びに出かけるのも素敵ですが、年末にかけての整理整頓や外回りの片づけなど、小春の陽気に手伝ってもらって、思いきってこの時期に手をつけておくのもいい考えかもしれませんよ。さあ、小春をどう過ごしましょうか?