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「獺祭」などの人気銘柄にリードされるように日本酒の人気が高まっていますが、その人気は国内だけにとどまらないようです。今や、海外でも日本酒は注目の的。そんな日本酒を楽しむのに重要なアイテムが「お猪口(おちょこ)」です。今回はお猪口の豆知識に迫ります!
日本酒を楽しむにあたり、お酒の味そのものを味わうのはもちろんですが、見過ごしてはいけないのが酒器の違いです。酒器により味が変わるといわれるほど大事なものだからです。
日本酒はアルコール度数が高いので、当然ながらジョッキのような大きい酒器では飲めません。少しずつ飲むには「お猪口」がちょうどよいのでしょう。一般的にお猪口一杯の容量は45mLほどです。
また、形はお猪口と同じようなものですが「ぐい飲み」と呼ばれるものもあります。ぐい飲みはその名前の響きから想像できるように、ぐいぐい飲み進められる程よい大きさのものを指します。
お猪口とぐい飲みの違いは大きさだけですが、温度変化に敏感な日本酒なだけに、酒器の大きさのチョイスによっても違った味わいになることでしょう。
日本酒を極めるならば、お猪口の材質の特徴もおさえておきたいところ。材質の違いによって日本酒の味わいも変化するからです。お酒を飲み慣れた人は、きっと酒器の材質までこだわりを持っているはず。
では、材質によってどんな特徴があるのでしょうか? 代表的なものをいくつかご紹介します。
◆錫(すず)
金属である錫。錫のお猪口で飲むと、日本酒の味がまろやかになるといわれています。錫がもたらす光触媒効果によって、日本酒の雑味成分であるフーゼル油が分解されます。その結果、まろやかな味わいになるのです。
◆ガラス
ガラスは無味無臭のため、日本酒の味をそのまま楽しみたい場合に適しているといえます。シャープなお酒は酒器によってはその特徴が損なわれやすいとされています。つまり、ガラスであれば日本酒そのままの味が活かされるのでシャープな味のものに向いているのです。
◆木
一番独特な味わいになるので、好き嫌いが出やすい素材かもしれません。やはり木の香りがお酒につくので、お酒のにおいを少しやわらげたい人におすすめです。
ところで、お猪口の底に、丸い二重線が描かれているのを見かけたことはありませんか? この丸い二重線、見た目がヘビの目のように見えることから「蛇の目」といわれます。実は、この蛇の目には、きちんとした意味があるのをご存じでしょうか。
蛇の目は利き酒をする際に大事な役割を果たしています。日本酒には「冴え」と呼ばれる透明度を表す指標があります。黄金色に近ければコクがあるお酒、透明度の高いものであれば淡麗……といったようなもので、この冴えを確認することで、日本酒の味が大まかに判別できます。つまり、蛇の目があることで冴えを確認しやすいのです。
── 小さなお猪口ですが、そのサイズや材質の違い、そして底にあしらわれた蛇の目にはこんな理由があったんですね。春の宴では、お猪口にもこだわって日本酒の味をじっくり楽しみたいものです。