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ユネスコの無形文化遺産とは、芸能や伝統工芸等、形がない文化であって、土地の歴史や生活風習などと密接に関わっているもののことです。その文化を保護し、尊重する機運を高めるための制度です。
ちなみにユネスコは略称で、正式には「国際連合教育科学文化機関」(本部の所在地
はフランス共和国・パリ市)。
この国際連合教育科学文化機関 =「United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization U.N.E.S.C.O.」から、ユネスコと呼ばれています。
天ぷら、寿司など、具体的なメニューが選ばれたのではなく、認定されたのは「和食」という食文化。
「和食」は自然を尊重する日本人の心を表現したものであり、伝統的な社会的慣習として、世代を越えて受け継がれていることが評価されました。日本政府が無形文化遺産に登録申請した際に「和食」の特徴が示されています。
1 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がっているため、各地で地域に根差した多様な食材が用いられています。また、素材の味わいを活かす調理技術・調理道具が発達しています。
2 栄養バランスに優れた健康的な食生活
一汁三菜(1種類の汁物と3種類の菜からなる日本料理の基本的な膳立て)を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われています。また、「うま味」を上手に使うことによって動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿、肥満防止に役立っています。
3 自然の美しさや季節の移ろいの表現
食事の場で、自然の美しさや四季の移ろいを表現することも特徴のひとつです。季節の花や葉などで料理を飾り付けたり、季節に合った調度品や器を利用したりして、季節感を楽しみます。
4. 年中行事との密接な関わり
日本の食文化は、正月などの年中行事と密接に関わって育まれてきました。自然の恵みである「食」を分け合い、食の時間をともにすることで、家族や地域の絆を深めてきました。
「和食」以外にも無形文化遺産はあるの?
この質問の答えは「YES」です。「和食」のほかに無形文化遺産に認められた料理は4つ。それらをご紹介しましょう。
フランス料理
食材の選び方、ワインと食べ物の組み合わせ方、フルコースの料理を出す順番、食器のセッティグ、マナーなどの知識や慣習が評価されました。
地中海料理
オリーブオイルから油脂をとり、穀類、フルーツ、野菜、適度な肉・魚・乳製品といった食材をバランスよく適量のワインとともにいただき、食卓を囲みながら語り、楽しみながらゆっくりと味わう地中海式スタイルが総合的に評価されました。
メキシコ料理
7000年前から口承で伝えられている伝統が色濃く残ったメキシコ料理。トウモロコシ、豆、唐辛子の3つを基本とし、環境と調和した伝統農法や、儀式や祭礼行事として、人々の生活に溶け込み代々受け継がれてきたことなども評価されています。
トルコのケシケキ
トルコの伝統料理ケシケキは、麦と肉、タマネギを水と油で一晩かけて煮込んだおかゆのような食べ物。結婚式や祝日、雨乞いなどの儀式で、歌を歌いながら音楽にあわせて小麦を脱穀し、すりつぶす儀式全体が文化遺産として認められています。
―― 外国の食文化も流入し変化してきた日本の食卓。若者をはじめ日本人の「和食」離れも進んでいます。
無形文化遺産に登録されたことを契機に、日本人が「和食」について考え、次世代に向けて守り伝えていく動きにつながってほしいものです。