今年の夏ももう終わり。私はお家でたくさんビールを飲めた夏でした。みなさんもビール充していますでしょうか?

そんなみなさんのビアライフを、さらに充実したものにしてくれるであろう「サワーエール」。その名の通り“酸っぱい”ことが特徴のビールです。今回はそんなサワーエールを5種を飲み比べしてみました!





そもそも「サワーエール」ってどんなビール?

サワーエールは、他のビールではなかなかない「酸味」が特徴的。ビールを造る過程で、一般的なビール酵母以外の「乳酸菌」や「野生酵母」を使用することで、「酸味」が生まれます。その歴史はかなり深く、ドイツやベルギーなどのビール大国では昔から親しまれてきたビールです。




サワーエール とは


サワーエールは、主に乳酸菌などのアルコール発酵により酸をつくる菌を用いて併用して造られる酸っぱいビール。フルーツを同時に用いて発酵・熟成するものや、フルーツフレーバーのシロップを入れて飲むものもある。野生酵母を使うもの(ベルギー/ランビック等)がこのスタイルに含まれることも大きな特徴の一つ。



一言でサワーエールと言っても、その特徴は様々。

「サワーエール」はあくまでも総称で、その中にも様々なビアスタイルがあります。自然に生息する微生物の手を借りて発酵をする「ランビック」、よくワインの発酵で使われるオーク樽を使用してじっくり造られる「レッドエール」、乳酸菌以外に塩やハーブを使用されることでスッキリ感を楽しむ「ゴーゼ」、フルーツを使用し、果実のフレッシュさも楽しめる「フルーツサワーエール」など、非常に個性豊かなビールが勢揃いしているカテゴリです。

今回はそれぞれのビアスタイルから満遍なく、ビール女子編集部が今飲みたいと思うオススメ5種のサワーエールを選出して飲み比べました。それぞれの個性が爆発した面白い飲み比べになったので最後まで要チェックです!

1. マスカットのさわやかな酸味と余韻を楽しむ『玉(TAMA)』



伝統的なベルギーのスタイルにアメリカスタイルの新しい風を吹かせたビールを展開している京都酒造。

シンプルながらもインパクトのあるパッケージと名前がついた『玉(TAMA)』の特徴は、原材料に麦芽よりもマスカットジュースを多く使用していること。マスカットジュースの自然な甘さを最大限に活かすため、ホップは使われていません。

そして、発酵すると同時に乳酸菌を生み出す「ラカンセア酵母」を使用。酵母の特徴を引き出すため、ほぼ70パーセントがぶどうジュースの麦汁を造り、そこにラカンセア酵母を加えて発酵させているそう。

スパークリングワインをイメージして造られていて、味わいもまさにビールとジュースとワインの中間を取ったような味わいです。

飲んでみると…



酸っぱ度 ★★★☆☆
グラスに注いだ瞬間にふわっと白ワインのような香りが広がりました。さすが原材料名表記の一番最初に「ぶどうジュース」がきているだけあって、かなりマスカット感が強い香りです。色はホワイトビールのようで、少し濁りがある見た目。

飲んでみると、マスカットの風味がいっぱいに広がり、顎の奥でキュッと感じるような酸味があります。酸っぱさが全面に来る感じではなく優しいまろやかさがあるので、全体的に香りと味わいと酸味もバランスがよく、サワーエール初心者の方でもすぐに仲良くなれそうな味です。


後味も優しくマスカットの風味と酸味が残ってくれて、余韻も楽しめるようなビール。爽やかで優しさのある味わいなので、午前中の明るい日光の窓辺で、読書をしながら飲んでみたい!食事はホタテや白身魚のマリネと合いそう。



 『玉(TAMA)』


  • 〇ビアスタイル:フルーツサワー
    〇アルコール度数:5.0%
    〇IBU:0
    〇原材料:ぶどうジュース、麦芽
    〇容量:350ml
    〇価格:6本セット1本あたり703円(税込)
    〇URL:https://kyotobrewing.com/products/tama
    〇醸造所:京都醸造



2. デザート感満載!女子会で飲みたい『ホエイサワーエール ブルーベリー』



ホエイサワーエール ブルーベリー』は、サンクトガーレン有限会社から発売されている、ホエイとブルーベリーをふんだんに使用したビール。

ホエイとは、チーズを造る過程で生まれるもの。固まってチーズになるのはわずか1割で、残り9割がホエイとなります。厚木市王子にある牧場Boccaはこのホエイをなんとか活用できないかとサンクトガーレンに相談し、このビールが開発されました。通常、ビールにとって「酸」は好ましくないものなので、こちらのビールの製造時には他の通常業務を全てストップ。徹底した管理と努力の上で造られた、非常にこだわりの詰まった一杯です。

▽詳しくはこちら
チーズ製造時に廃棄されるはずの“ホエイ“と、ブルーベリーを使った甘酸っぱいビールが誕生!」

飲んでみると…



酸っぱ度 ★☆☆☆☆
まず印象的なのが見た目の華やかさ!ビールの色はブルーベリー色で、クリーミーな質感の泡も綺麗なピンク色に染まっています。なんと可愛らしい見た目…女子会で持ち込んだら人気者になれそう。

香りはヨーグルトや桜餅の葉のような、まろやかで優しい香りが広がります。


飲んでみると、ブルーベリージャムのような果実感があり、そこまでブルーベリーが主張しすぎず、スッキリとした味わい。酸味はまろやかできつくないので、酸っぱいのが苦手な人でも美味しく飲めそうです。

デザート感のある一杯なので、午後のおやつタイムにチーズケーキとペアリングして楽しんでみたい。時間が経っても比較的味が変わりにくかったので、ゆっくり楽しむのも良しです。



 『ホエイサワーエール ブルーベリー』



  • 〇ビアスタイル:フルーツサワーエール
    〇アルコール度数:4.0%
    〇IBU:9.8
    〇原材料:麦芽、ホップ、ブルーベリー、ラクトース、ホエイ(乳清)
    〇容量:330ml
    〇価格:506円(税込)
    〇賞味期限:90日(要冷蔵)
    〇URL:https://www.sanktgallenbrewery.com/blueberry/

  • 〇醸造所:サンクトガーレン醸造所




3. 熟成された旨みが重なり合う深い味わい『ドゥシャス デ ブルゴーニュ』



ドゥシャス デ ブルゴーニュ』は、ベルギーのヴェルハーゲ醸造所で造られている「レッドビール」です。このスタイルのビールはフランダース地方の西側で主に生産されており、見た目や味わいから「赤ワインのようなビール」と言われています。

ワインの熟成にも使用されるオーク樽で18ヶ月熟成したビールと、8カ月間熟成した若いビールをブレンド。酸味の中にも甘みを感じるバランスの取れた味わいが特徴です。名前はフランス語で「ブルゴーニュ公国の公爵夫人」という意味で、ラベルにもブルゴーニュ公国のシャルル突進公の娘、マリーが描かれています。


飲んでみると…



酸っぱ度 ★★★★☆
色は深い赤茶色で、グラスに注いだ瞬間にバルサミコ酢のような香りが強く広がります。一口飲んでみると鼻にツンとくるような酸味を一瞬感じ、その後に旨みがたっぷり詰まった深い味に包まれます。

香りほどに酸味が残る感じはなく、酸っぱいと感じるのは口に入れた瞬間だけ。その後は甘みを強く感じ、何とも深い、何層にも重なり合った旨みを感じます。


度数も6.2%と少し高めなので、電気を落としてゆったりと好きな音楽をかけながら楽しみたい味。少しぬるくなってきたくらいで甘みがさらに強く感じられるので、また違った味わいを楽しめそう。少し重めのお肉料理やフィッシュアンドチップスに合わせて飲んでみたいです。



 『ドゥシャス デ ブルゴーニュ』


  • 〇ビアスタイル:レッドビール
    〇アルコール度数:6.2%
    〇原産国:ベルギー王国
    〇原材料:麦芽、ホップ、小麦、糖類
    〇容量:330ml
    〇URL:https://www.konishi.be/beers#/duchesse_de_bourgogne
    〇醸造所:ヴェルハーゲ醸造所



4. 野生感溢れる刺激的な味わい『ドリー フォンティネン オード グーズ』



ドリー フォンティネン オード グーズ』は、サワーエールの中でも特に個性ある味わいの「ランビック」というスタイルのビールです。

ランビックはその製造過程が非常に独特で、一般的なビールはビールの醸造用の酵母を使用するのに対し、ランビックは自然界に生息している野生酵母やバクテリアを使用して発酵させています。

さらに原材料では、大麦に加え発芽させていない小麦を使用していることと、長期間の熟成に耐えられるように、酸化させて苦みや香りを少なくしたホップを防腐剤として大量に使うことが、ランビックの特徴。

ホップといえば、IPA誕生の歴史として「長い海上輸送の間に痛まないよう防腐剤の役割としてホップを大量に投入した結果、その華やかな香りや苦味が生まれ、IPAとして親しまれるようになった」というエピソードがあり、ホップ=苦味、香り付けの印象が強い昨今ですが、ランビックの場合、ホップの使用目的を完全に「防腐」に置いているところが面白いですよね。

そして、「ドリー フォンティネン オード グーズ」はランビックの中でも「グーズ」という種類のビールで、若いランビックと熟成されたランビックをブレンドしたもの。こちらは3種類のランビックをブレンドしていますが、とてもバランスの整った味わいになっています。


飲んでみると…



酸っぱ度 ★★★★☆
色は鮮やかで少し濁った綺麗なオレンジ色。グラスを口に近づけると、合皮のような香りと柑橘系の香りが混ざったような複雑な香りを感じました。

飲んでみると、一言では言い表せないような複雑な味わいで、フルーティーで突き刺すような酸味を強く感じるとともに、野生感のある土や草のような風味が口いっぱいに広がります。


酸味はかなり強いし、味わいもクセがあります!でも、飲めば飲むほどハマりそうな味。今日はちょっと気分を変えてみたい、というときにぴったりな印象です。生牡蠣を食べるときにレモンを垂らす代わりにランビックを飲んでみると、酸味が牡蠣の味わいを引き立たせてくれそう。



 『ドリー フォンティネン オード グーズ』



  • 〇ビアスタイル:ランビック
    〇アルコール度数:6.0%
    〇原産国:ベルギー王国
    〇原材料:麦芽、ホップ、小麦、糖類
    〇URL:https://beeronline.jp/products/125865407

  • 〇醸造所:ドリー フォンティネン醸造所




5.フルーティーでハーバル!おしゃれな一杯『ホロピト&カワカワゴーゼ』



『ホロピト&カワカワゴーゼ』のビアスタイルは、ドイツ生まれの「ゴーゼ」です。

ゴーゼの大きな特徴は、副原料にを使用していること、そして発酵はなんと「乳酸菌」で行うということ。また、塩以外にもコリアンダーなどのハーブ類を使用することも多く、酸味のなかに少しの塩気とハーブの香りが感じられます。

「ホロピト&カワカワゴーゼ」は、ニュージーランドのアーバノート醸造所で造られており、「ホロピト」と「カワカワ」というニュージーランドで人気の高い2種類のハーブを使用。これらのハーブにはピリッとした辛みがあり、ゴーゼにハーブ感、スパイス感を加えアロマティックな印象に仕上げています。


飲んでみると…



酸っぱ度 ★★☆☆☆
色は濁りの強い薄い黄色。グラスに注ぐと、まずりんごのようなフレッシュさと、ローリエのようなハーブ感が合わさった香りがしました。

飲んでみると香りの印象と近い味で、さらにハーブ感を強くしたような味わい。薬草感があり非常に風味豊かで、酸味はまるい感じでそこまで主張してきません。


爽やかさに包まれるような一杯なので、リラックスタイムに飲んでみたい!ペアリングはカプレーゼなどのフレッシュチーズを使った料理がよく合いそう。スッキリした、香り豊かなサワーエールを求めている方におすすめです。



 『ホロピト&カワカワゴーゼ』


  • 〇ビアスタイル:ゴーゼ
    〇アルコール度数:5.5%
    〇原産国:ニュージーランド
    〇原材料:麦芽、ホップ、オーツ麦、塩、カワカワエキス
    〇容量:440ml
    〇URL:https://www.malt-st.com/SHOP/BE-DU-URB-12.html
    〇醸造所:アーバノート醸造所



ビールの世界は広い!個性豊かなサワーエールを楽しんで

いかがでしたか?サワーと言えど、ひとえに「すっぱい!」というわけでなく、お酢のような酸味だったり塩のようなしょっぱさだったり、はたまたやさしい甘みを持ち合わせていたり。製造方法や原材料など、幅広い個性が織りなすサワーエールは、改めて「ビールの世界は広い!」と思わせてくれます。

気分を変えてみたい方、残暑を酸味あるビールで乗り切りたい方、サワーエールをぜひ手に取ってみてくださいね!個性豊かなメンツが揃っているので、きっとお気に入りの一杯が見つかるはずです。





情報提供元: ビール女子
記事名:「 【飲み比べ】個性豊かな「酸っぱい」が楽しい!今飲みたいサワーエール5種類を飲んでみた