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【旅するように暮らす】私のオーストラリア物語 Vol.5 土地に呼ばれる感覚


夢を抱いて日本を飛び出した24歳。泣きながらブリスベンを去った33歳。引き寄せられるように舞い戻った36歳。どうしてこの国は、こんなにも私の心を掴んで離さないのだろう……。暮らし旅ライター金子 愛がつづる、美しくも苦いオーストラリアでの日々。今回は、移住に至った経緯についてお話しします。
オーストラリア


あの景色、感動が忘れられない


オーストラリア

初回から4回に渡ってお届けした、 ”波乱続きのケアンズ旅行” から日本に無事帰国。日常生活に戻った筆者でしたが、どこか上の空。というのも、どうもオーストラリアが気になって仕方がないのです。ふと気がつくと目に浮かぶ旅の思い出。グレートバリアリーフの透き通った海や、頭上一面に広がった天の川の光景が、頭から離れません。ついには夢にまで出てくる始末。


カンガルー

街を歩いていても、テレビや雑誌を見ていても、やたら目に飛び込んでくる ”オーストラリア” の文字。特に印象的だったのは、ケーブルテレビを見ていた時のこと。確かオーストラリア政府観光局のCMだったと思うのですが、「まだ来ないの?」とカンガルーが呼びかけているシーン。一緒に観ていた母が、「何だか、愛ちゃんに呼びかけてるみたいね」と言ったのを今でもよく覚えています。

突如訪れた転機


オーストラリアサイン

一方、日常生活にも大きな変化が。当時勤めていた会社が合併、大規模な組織再編が行われることに。業務内容も変わるようで、このまま会社に残るべきか今一度考えるキッカケが訪れたのです。以前から留学を考え貯金も目標額に達しつつあった筆者は、「今なのかもしれない……」と予感めいたものを感じます。


運命の分かれ道



語学教室

留学となれば、何はともあれ必要なのが英語力。独学で勉強を続けてきたものの、実際どのくらい通じるのか、日本を発つ前に知っておきたい。そんな時、横浜のとある語学学校の募集を目にします。

3カ月だけの学校

期間は三カ月、週五日ネイティブ講師の元みっちり学べるとのこと。が、しかし願書受付の締め切りはなんと明日まで! 今までなら「あー間に合わない」と諦めていたであろう筆者ですが、翌日半休を取って願書をゲット。志望動機など、思いのたけをしたためその場で提出。後日面接まで漕ぎ着けたのです(もし受かったら、会社を辞めよう……)。


トントン拍子に事は運び





波乱のケアンズ旅行から約半年後、筆者はブリスベン空港に降り立っていました。会社を辞め、語学学校に通いながら、オーストラリアの情報収集。何かに突き動かされるように、一心不乱に進めてきた移住の準備。やるべき事はたくさんありましたが、それよりも希望と充実感が断然勝っていたように思います。


オーストラリアが私を呼んでいる



オーストラリア行き

ずいぶんと後になってからですが、こんな話を聞いたことがあります。「土地には土地の神様がいて、人間を呼ぶことがある」のだと。例えば「やたらその場所に関する情報が目に入る」「夢に現れる」「物事が順調に進む」そんな時はその土地に歓迎されているのだそう。

何とも不思議な話ですが、妙に納得。オーストラリアの凄まじき “吸引力” を、身をもって体感した筆者でした。

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